[メイン] 獅童真希 : 茜色に染まるビル群。
[メイン] 獅童真希 : 西の方角へ影が伸びる時刻。
[メイン] 獅童真希 : ひと気の無い、いや、正確には"誰も"いない車道の真ん中を、殺気立てながら歩く、獅子のような風貌の、長身の少女。
[メイン] 獅童真希 : "死んだあの子を、取り戻したい"。
[メイン] 獅童真希 : 切なる願いを胸に、そして、御方に込め。
[メイン] 獅童真希 : 「………………」
[メイン] 獅童真希 : 気配。
[メイン] クロエ : かつ、かつ
[メイン] 獅童真希 : 腰を低くし、身構える。
[メイン] クロエ : 足音と、人影
[メイン] クロエ : 華奢な体にアンバランスな黒鉄の盾
[メイン] 獅童真希 : 柄に、手を添え。
[メイン] クロエ : 「…ん?」
[メイン] 獅童真希 : 「……………君は……」
[メイン] クロエ : 「どーも、現地民って感じ?」
[メイン] 獅童真希 : ……巨大な盾だ……ふむ……刀使、とは違う……?
[メイン] 獅童真希 : 「……その言い回し……なるほど」
[メイン] 獅童真希 : 「……そうだな、僕は………」
[メイン]
クロエ :
「刀とか持ってるけど…ん?」
戦術人形じゃあ、なさそうだ
[メイン] クロエ : 「ああ」
[メイン] 獅童真希 : 「──────────願いのためにここに、立っている」
[メイン] 獅童真希 : クロエの瞳を、じっと見つめ。
[メイン] 獅童真希 : 「……そう言ったら、どうかな」
[メイン] クロエ : 「…あ~~」
[メイン] 獅童真希 : 眉を顰め、直ぐにでも抜刀を可能とする構えへ。
[メイン]
クロエ :
「もしかして、願いの為に戦うって感じ?」
髪を搔いて、そのまま
[メイン] 獅童真希 : …………そうだ、僕は、願いのために、誰が相手だろうと、斬らなければ、ならないんだ。
[メイン] クロエ : ドンと、地面に大楯を突き立てて腰から銃を構える
[メイン]
獅童真希 :
「……………」
答えは、沈黙。
[メイン] クロエ : 「抜いたら闘いじゃん、忙しないね」
[メイン] 獅童真希 : 「…………なるほど……」
[メイン] 獅童真希 : 写シを、発動する。
[メイン] クロエ : 「…わお」
[メイン] 獅童真希 : 真希の身体の周囲に、白い"モヤ"のようなものが現れる。
[メイン]
クロエ :
「っち、攻めていくのは得意じゃないんだけどね」
楯を片手で持ち上げて
[メイン]
獅童真希 :
真希の全員が、"エネルギー体"となり、身体能力の向上と共に。
自身の肉体を"隔世"へと繋げ、一時的な損傷を防ぐ、刀使の術。
[メイン] クロエ : 乾いた音で発砲音が鳴る
[メイン] クロエ : 左手に持つ銃器が針を打ち出す
[メイン] 獅童真希 : 発砲音と共に、"迅移"が発動。
[メイン] 獅童真希 : 目にも止まらぬ速さで、クロエのもとへ急接近。
[メイン]
クロエ :
「早ッ」
顔を顰めて
[メイン] 獅童真希 : ………僕を即座に射撃した。
[メイン] 獅童真希 : 手練れ、か……。
[メイン] クロエ : 薙ぎ払うように楯を振りかぶる
[メイン]
獅童真希 :
……それなら、容赦は、いらない……。
いや……いや、違う、容赦なんて、最初からいらないんだ。
[メイン] 獅童真希 : 「………!!」
[メイン] 獅童真希 : 無防備な胴体へ刀を振るわんとするも。
[メイン] 獅童真希 : ガキィインッ。
[メイン] クロエ : 「っと…!」
[メイン] 獅童真希 : 「……なんて硬さだ……!」
[メイン] クロエ : 細身の剣でよく止めるなぁ…!
[メイン] 獅童真希 : ……この重量を、片手で……
[メイン] クロエ : 「そりゃあ、刀で切られちゃあね!」
[メイン] 獅童真希 : 獅童真希は、16歳の少女とはいえ、身長174cmにものぼり。
[メイン] 獅童真希 : 体格はガッチリとしており、筋肉も隆々と見えるのが分かる。
[メイン] クロエ : 銃器を腰にマウントし、接近戦と見て
[メイン] クロエ : 大楯を両腕で構え、振るう
[メイン] 獅童真希 : 並大抵の兵士程度では、タイマンでは圧倒も当然。
[メイン] 獅童真希 : しかし……。
[メイン] クロエ : 華奢とはいえ、クロエは戦術人形
[メイン] 獅童真希 : 「……君……刀使でも無いのに、その力……」
[メイン] クロエ : その正体は全身を強化素材で構築されたヒューマノイドであり
[メイン]
獅童真希 :
・・
「………人間じゃないね……?」
[メイン] 獅童真希 : 続けて、一閃。
[メイン] 獅童真希 : 鈍く、重い一撃。
[メイン]
クロエ :
「おいおい、戦術人形って聞いたことない?」
楯をその剣閃に合わせる
[メイン]
獅童真希 :
真希の戦法は、その鍛え抜かれた肉体による白兵戦。
重い一撃で以って、相手の防御ごと斬り割く戦いだ。
[メイン] 獅童真希 : 「………戦術、人形……?」
[メイン] 獅童真希 : ガキィイインッ。
[メイン]
クロエ :
「それに、守るのは得意だし!」
全身の膂力と、重量で受け止める
[メイン] 獅童真希 : 「なッ………」
[メイン] クロエ : 「はぁん…成程!」
[メイン] 獅童真希 : ……今のも、"軽々"と、防がれた、だと……!?
[メイン] クロエ : 「もしかして、そっちは生身!?」
[メイン] 獅童真希 : 「…………正確には、"半身"、だけどね」
[メイン]
クロエ :
「人間っていつの間にアニメみたいに強くなったんだか!」
楯のウイングを展開して、地面に固定
[メイン]
獅童真希 :
刀使は、重い刀を使い戦うため、その装備は軽装であることがほとんど。
そのために、守りはこうして、エネルギー体として身を包み。
一時的に相手の攻撃を防ぐ。
[メイン] 獅童真希 : 「………!!」
[メイン]
クロエ :
「半身…サイボーグってやつ?」
そのまま、シールドバッシュを力任せに
[メイン] 獅童真希 : ……何を、する気だ……!?
[メイン] 獅童真希 : 防御の構えを取り。
[メイン] 獅童真希 : 「………人間、のつもりだよ」
[メイン] 獅童真希 : 「──────────んぐゥッ!?」
[メイン] 獅童真希 : 圧倒的重量。
[メイン] クロエ : 「っとォ!」
[メイン] クロエ : 「…硬ったい!」
[メイン] 獅童真希 : クロエの持つ、身長を遥か凌駕する盾を、愛刀"吼丸"で受け止めるも─────。
[メイン] 獅童真希 : アスファルトに、黒い足跡がズルズルと引き摺られ描かれる。
[メイン]
クロエ :
「強化防具もないのに、どうやって耐えてるんだか!」
楯から伝わる衝撃に、さらに出力を込めつつ
[メイン] 獅童真希 : 「ぐッ………!!舐め、るなッ……!!!」
[メイン] 獅童真希 : 僕は……僕はッ……!!ここで、負けるわけには、いかないんだ……!!
[メイン]
クロエ :
「舐めて無いっての!」
両足を支えに
[メイン]
獅童真希 :
真希の体を包み込むエネルギー体が、さらに青白く発光し。
それ共に、真希が発する力が、増長していく。
[メイン] クロエ : 「とはいえ…!」
[メイン] 獅童真希 : ズルズルと引き摺られた足が、徐々に止まっていき。
[メイン]
クロエ :
「このまま、押し切る気…!?」
[メイン] 獅童真希 : 「そうだッ……!!!僕は……!!」
[メイン] 獅童真希 : ここから一旦退き、体勢を整える?
[メイン] 獅童真希 : ─────否。
[メイン] 獅童真希 : 僕は……僕は、『強さ』から、逃げない。
[メイン] 獅童真希 : そして、僕の持つ『強さ』を……!!!曲げないッ……!!
[メイン] 獅童真希 : 「うおおぉおおぉおおおおッッッ……!!!」
[メイン] 獅童真希 : 結芽を、取り戻すため。
[メイン]
クロエ :
「くっそ、人間も随分凄いことになってんな!」
アイギスを握り直しつつ
[メイン] クロエ : ぐらりと、均衡が崩れる
[メイン] クロエ : 真っ向からの押し合いで、出力が負ける
[メイン] クロエ : 「…ああもう、埒が明かない…か!」
[メイン] 獅童真希 : 真希の表情には……焦りが、生じていた。
[メイン] 獅童真希 : 歯を食いしばりながら、がむしゃらに、猪突猛進。
[メイン] クロエ : 「なぁ…!お前さー!」
[メイン] 獅童真希 : 「……ッ……!」
[メイン] 獅童真希 : 「……なん、だ……!!」
[メイン]
クロエ :
「なんでそこまでやってんだ、願いとか、叶えるんだろ…!」
両足に力を
[メイン] 獅童真希 : 巨大な盾に、御刀一本で押し返さんとしながら。
[メイン]
クロエ :
「私はなんで選ばれたのか!よくわかってない!」
[メイン] 獅童真希 : 「…………!」
[メイン] クロエ : 「それでも!このままだと倒すか負けるかだろ!」
[メイン] 獅童真希 : 何……この少女は……願いを、持って、いない、だと……?
[メイン] 獅童真希 : 「……だから、何だというんだ……!」
[メイン]
クロエ :
「願いあるんなら言えよ!」
出力を上げて、楯にエネルギーを注ぎつつ
[メイン] 獅童真希 : 「ぐッ……!?!」
[メイン] クロエ : 「叶えたいなら手伝えるかも!だろ!」
[メイン] 獅童真希 : そんな、僕が……負ける……!?そんなことは、あっては、ならないんだッ……!!
[メイン] クロエ : 楯を変形させて、そこに仕込んである砲口を開く
[メイン] 獅童真希 : ずるずると、足が引きずられながら。
[メイン] 獅童真希 : 「………ッ!!」
[メイン] クロエ : 「何も言わないなら攻撃する!」
[メイン] クロエ : 「作戦だからな!」
[メイン] クロエ : 引き金に指をかける
[メイン] 獅童真希 : ……………くっ……!!く、そ……!!
[メイン]
獅童真希 :
僕は、僕は……結芽のために、誰であっても、斬り捨てなきゃ、いけないんだッ……!!
例え、どんなに人でも……子どもでも、老婆でも……。
[メイン] 獅童真希 : 優しい、人、で、も………。
[メイン]
クロエ :
「言えないような願いなら撃つぞ!?」
[メイン] 獅童真希 : 真希の体に流れるエネルギーバランスが、徐々に崩れていく。
[メイン] クロエ : 「ちなみに!!」
[メイン] クロエ : 「私はたとえ願えても!アニメに続きくらいしか思いつかないからな!」
[メイン] 獅童真希 : 「………ッ!!……君に、言ったところで……!!」
[メイン] 獅童真希 : ………元より、僕は、理解なんて……望んじゃ、いないはず、なんだッ……!!
[メイン] クロエ : 「全員殺せとか言われてねーもん!」
[メイン]
クロエ :
「それに!私は元から一人で戦うタイプじゃないんだよ…!」
グッと、銃口を構えたまま
[メイン] 獅童真希 : 「撃つなら……撃って、みろ……!!この、ままッ……!!その盾ごと……全部ッ……!!斬って、みせ………」
[メイン] 獅童真希 : 言葉が揺らいでいく。
[メイン] 獅童真希 : ………分からない。
[メイン] 獅童真希 : なんで、なんでこの子は、僕に、こんなことを聞くんだ。
[メイン] クロエ : 「撃つかどうか決めるために聞いてるんだろーが!」
[メイン]
獅童真希 :
やめてくれ、そんなの
僕が、哀れになるじゃないか……!!
[メイン] 獅童真希 : 「………」
[メイン]
クロエ :
「ああもう!」
銃口を格納して、押し込む構えに
[メイン] クロエ : ぐっと両足を地面につけて、姿勢を低く
[メイン] クロエ : 楯を斜めに、前方の地面毎乗り上げるようにパワーを注ぐ
[メイン] 獅童真希 : 「ッッッ………!!?」
[メイン] 獅童真希 : な、なんだ、この、エネルギーはッ……!?!
[メイン] クロエ : 「聞かん坊ってやつだな!」
[メイン] クロエ : アイギスを変形させて、左右のウイングを"腕"の形に
[メイン] 獅童真希 : 負け、て、たまる、かッッ……!!!
[メイン] クロエ : 足と!腕で!
[メイン] 獅童真希 : 逃げない、撤退の二文字など、無い。
[メイン] クロエ : 一気に押し込むが
[メイン]
クロエ :
「これでも足りないかぁああ…!!!」
険しい表情で、さらにもう一段階変形させて
[メイン]
獅童真希 :
『強さ』を、示さんとばかりに、真希は、真希の持つ力で以って
そのエネルギー砲に対し、御方で断ち切らんと─────
[メイン] クロエ : 楯にブースターが展開し、激しく火を噴き
[メイン] 獅童真希 : 「ぐッ……!!ぐぅうううッッッ……!!!」
[メイン] クロエ : 前方に推力が大きく発生する
[メイン]
クロエ :
「おらああああッ!!!」
一気に押し込む構えを…
[メイン] 獅童真希 : ふわりと、真希の体が宙に浮き飛ばされる。
[メイン] 獅童真希 : 「ぐあぁあああああああッッッ……!!?!」
[メイン]
クロエ :
「ッッっとお!!」
吹き飛ばして、そのまま
[メイン] 獅童真希 : 写シにより、与えられた損傷の復元を行うも─────。
[メイン] 獅童真希 : 吹き飛ばされた真希の体は、車道に止めてある車の群れ、数台を貫通し
[メイン]
クロエ :
「ちょっと頭!冷やしてよ!」
楯を地面に突き刺して、ブレーキをかける
[メイン] 獅童真希 : ゴロゴロと転がりながら、受け身も取れず、ガードレールに背中を打ちつけられる。
[メイン] 獅童真希 : 「が、はッ…………!?」
[メイン] 獅童真希 : なん、だ、いま、の、は………。
[メイン] クロエ : 吹き飛ばした真希の方に向かう
[メイン] 獅童真希 : ……そん、な……僕、が……力、比べで……負け、た………?
[メイン]
クロエ :
「まだやる気…?」
頭を搔きつつ
[メイン] 獅童真希 : なんでだ……なんでだ、僕は……この子よりも……この子の持つ盾よりも大きな荒魂とも戦ってきた……
[メイン] 獅童真希 : 立ちふさがる障害を、この手で断ち切って来たんだッ……!!
[メイン] 獅童真希 : なのに、なんでッ……!!
[メイン] クロエ : 「あのさ、わかって欲しいんだけど」
[メイン]
獅童真希 :
歯を食いしばり、口から血を溢しながら
クロエをキッと睨む。
[メイン] クロエ : 「何と戦ってるかもわかんないのに、気分良く戦えるわけないじゃん」
[メイン] 獅童真希 : 「…………」
[メイン] 獅童真希 : 「……そん、なの……」
[メイン] クロエ : 「まともな夢じゃないのかもだし、大事な夢かもだし」
[メイン] 獅童真希 : 「戦場に……必要、無い……だ、ろ……!」
[メイン] 獅童真希 : 「……敵、なら……斬る、そう……だろ……!」
[メイン] クロエ : 「じゃあ味方だったらどうすんの」
[メイン] 獅童真希 : 手放した御刀を拾おうと、手を伸ばすも。
[メイン] 獅童真希 : ぴたりと
[メイン] 獅童真希 : 止まる。
[メイン] 獅童真希 : 「…………み、かた……?」
[メイン] 獅童真希 : 真希の体が、止まる。
[メイン] クロエ : 「私は願いの為にここに送られてきただけ」
[メイン] クロエ : 「誰かが叶えるために来たのかもだし、そういうのだったら手伝うかも、だから」
[メイン] クロエ : 「さっさと言ってよ、言えない願いなんて持ってるわけないじゃん」
[メイン] 獅童真希 : 「…………………何故、だい……」
[メイン] 獅童真希 : 「……僕、こそ、分からない……」
[メイン] 獅童真希 : 「何故……何故見知らぬ者に対して……」
[メイン] 獅童真希 : 「……こうして、刃を向けた相手に対しても……そんなことを……言えるんだ……」
[メイン] 獅童真希 : 「………ここにいる奴は……全員……!」
[メイン] クロエ : 「そりゃまぁ」
[メイン] 獅童真希 : 「"敵"……だろ……!」
[メイン] クロエ : 「私はそう聞かされてないけど」
[メイン] 獅童真希 : 「な、に……?」
[メイン] クロエ : 「…もー、ったく」
[メイン] クロエ : 「わかったわかった、そんなに頑ななら…」
[メイン]
クロエ :
「約束する、まともそうな願いなら手伝ってあげる」
ぶっきらぼうに
[メイン] 獅童真希 : 「……………」
[メイン] 獅童真希 : クロエの顔を見て、眉を八の字にし。
[メイン] クロエ : 「人形が願い叶えたって、あんまり意味ないっての」
[メイン] 獅童真希 : 「……………結芽……」
[メイン] 獅童真希 : 「……僕は……どうしても……取り戻したい人が、いるんだ……」
[メイン] 獅童真希 : 「………今は、いない、だけ、なんだ……」
[メイン] 獅童真希 : 「………遠い場所にいるだけなんだ……だから……取り戻したいんだ……」
[メイン] クロエ : 「ふーん」
[メイン] クロエ : 「いいよ」
[メイン] 獅童真希 : 「……え」
[メイン] 獅童真希 : ぽかん、とする。
[メイン] クロエ : 髪を搔きつつ、ふうと息を吐いて
[メイン] クロエ : 「いやだって、なんか」
[メイン] クロエ : 「そんな世界に味方なんていない、みたいな顔してるから」
[メイン] クロエ : 「世界を滅ぼすとか言い出すかと思ってたもん」
[メイン] 獅童真希 : 「………は、はは……そんなことは……しない、よ……」
[メイン] クロエ : 「全然まともだし、別にそれなら手伝うけど」
[メイン] 獅童真希 : 自分を罵るように、嘲笑しながら。
[メイン] クロエ : 髪を直して、歩み寄り
[メイン] 獅童真希 : 「………………」
[メイン]
クロエ :
「ほら、立ちなよ」
手を伸ばす
[メイン] 獅童真希 : 伸ばされた手を、じっと見つめ。
[メイン] 獅童真希 : ………僕は、僕は………。
[メイン] 獅童真希 : …………ああ、分からない……こんな、『弱い』僕に手を差し伸べる君は……一体、何者なんだい……。
[メイン] 獅童真希 : 信じても、いいのか、それとも、だめなのか、すら、僕は……。
[メイン] クロエ : 「…世話が掛かるなぁ!」
[メイン] 獅童真希 : 分からない、何も、分からない………。
[メイン] 獅童真希 : 「っ………!!」
[メイン] クロエ : 無理やり腕を掴んで、立ち上がらせる
[メイン] 獅童真希 : クロエの言葉に、びくりと体が跳ね。
[メイン] 獅童真希 : 「あ………」
[メイン] 獅童真希 : 「………す、すまない……」
[メイン] クロエ : 「願い叶えに来たのに、何弱気になってんの」
[メイン] ヴェンデッタ :
[メイン] ヴェンデッタ : 「……見つけたわ、少し遅かったかもしれないけれど」
[メイン] クロエ : 「そんなんじゃ顔向けできないんじゃ…ん?」
[メイン] 獅童真希 : 「………っ!!」
[メイン] ヴェンデッタ : まるで幽霊のように、儚げな……否
[メイン] 獅童真希 : 声の主─────ヴェンデッタの方へ向く。
[メイン] クロエ : 「…っと、どーも?」
[メイン] ヴェンデッタ : 存在感が無い
[メイン] 獅童真希 : 「な、なん、だ……!?」
[メイン] クロエ : 楯を向き直し
[メイン] 獅童真希 : ボロボロの体で、御刀を握り締め。
[メイン] 獅童真希 : ……気が、つかなかったぞ……!?
[メイン]
ヴェンデッタ :
冥府から溢れ出たような
幽鬼の如き女が近場に立っている
[メイン] 獅童真希 : たしかに、僕は……この盾の子にやられて……気が散ってしまったかもしれない……。
[メイン] クロエ : 「今度こそ人形?それともまた人間?」
[メイン] 獅童真希 : でも……こんな距離まで接近を、許してしまうだなんて……!?
[メイン] ヴェンデッタ : 「んー……」
[メイン] クロエ : 一応警戒はするが、まだまだ状況は測りかねる
[メイン] ヴェンデッタ : 「人形、かしらね」
[メイン] 獅童真希 : 「……人、形……?」
[メイン] クロエ : 敵味方の指定信号すらないんだ、困ったもんだ
[メイン] 獅童真希 : ヴェンデッタと、クロエを、相互に見て。
[メイン] クロエ : 「じゃあお仲間?」
[メイン]
クロエ :
「こっちは任務コード====なんだけど」
電気信号のような声を出して
[メイン] ヴェンデッタ : 「……?」
[メイン]
獅童真希 :
っ……!?今の言葉は、なんだ……?
……いや、そもそも、この子が言っていた、戦術人形も……何だ……?
[メイン] クロエ : 「…?」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「人形に近い……っていうだけよ」
「兵隊さんじゃないの」
[メイン] 獅童真希 : …………いや、それよりも、そうだ……大事、なのは……。
[メイン] クロエ : 「ああそういう、私もそう言うわけじゃないけどさ」
[メイン]
獅童真希 :
「……君は、"どっち"なんだ」
ヴェンデッタを見て。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「敵か、味方か」
「そこをまずはハッキリさせましょうか」
[メイン] 獅童真希 : 「………………」
[メイン] ヴェンデッタ : 「………」
[メイン] 獅童真希 : 「………僕は、願いのために、ここに、いる」
[メイン] 獅童真希 : それだけ、伝える。
[メイン]
クロエ :
「私は作戦」
[メイン] ヴェンデッタ : 「私は勝利の為」
[メイン] 獅童真希 : 「………そう、か」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……ああ、勘違いされたら面倒だから先に言うわよ?」
[メイン] クロエ : 「…勝利ってどういうニュアンス?」
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] 獅童真希 : 「……?」
[メイン] 獅童真希 : 構えた御刀を下げ。
[メイン] ヴェンデッタ : 「何も殴る蹴るで最強になるーとか、そんな男の子みたいな理由じゃなくって……」
[メイン] 獅童真希 : 「……お、男の子……」
[メイン] 獅童真希 : ……刺さるな……。
[メイン] クロエ : 「少年向けじゃなさそうだ」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「あら、ショックだった?」
「女の子らしくないのは本当でしょ?」
[メイン] 獅童真希 : 「…………否定は、しないよ」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……勝利、簡単に言ってしまうと」
「人生の答え」
[メイン] クロエ : 「人生の…?」
[メイン]
獅童真希 :
「………………?」
……どういう、ことだ……?
[メイン] クロエ : こまったな、また測りかねるぞ
[メイン] ヴェンデッタ : 「何の為に生まれたか、なんの為に生きるのか昔見た絵本じゃないけれど、大切な事」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「それを求める、だから……」
「それまでは、ここで生き残らないといけない」
[メイン] 獅童真希 : 「…………」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……まあ、掴めないのなら死ぬしかないのだけれど」
[メイン] クロエ : 「んじゃあ、別に倒さなくていいって感じでOK?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「未来までは保証できないけれどね」
[メイン] クロエ : 「…ふうん?」
[メイン]
獅童真希 :
「……………君の、判断に、任せるよ」
クロエの方を向き。
[メイン] 獅童真希 : 御刀を、一旦納める。
[メイン] クロエ : 「別に敵じゃないならいいと思うけど、さ」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……そんなことでどうするの」
マキをジト目で見つめる
[メイン] 獅童真希 : 「………何?」
[メイン] クロエ : 「ん?」
[メイン] 獅童真希 : ヴェンデッタの方を、睨むように見つめ。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「背中から襲うかもしれない相手、敵か味方かもわからない相手」
「そんな人を前にして、あったばかりの人にお任せ〜」
[メイン] 獅童真希 : 「………………」
[メイン] クロエ : 「…後から裏切るつもり?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「もうそろそろ、大人になる娘がすることじゃないわ」
[メイン] 獅童真希 : ………確かに、この子の、言う通りだ……。
[メイン] クロエ : 「あのさ、何が言いたいのかいまいち判りかねてるんだけど」
[メイン]
獅童真希 :
「…………」
眉を顰めながら、ヴェンデッタの話に耳を傾ける。
[メイン] クロエ : 「君は生き残りたいの?それとも"願い"かなにか?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「勝利、人生の答えを見つけるまでは死ねない……見つけた後も死にたいわけじゃないけれど」
[メイン] クロエ : 「じゃあ普通に手を組んだらいいんじゃないの?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「勝ち残った時の願いなら好きにしなさい、私には無いわ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……はぁ」
[メイン]
獅童真希 :
………人生の答え、なんて、そんなの……。
僕だって……ずっと、探してるよ。
[メイン] ヴェンデッタ : 「自分の命を預ける相手を、信頼できない人に決めさせるのは間違っているでしょう?」
[メイン] クロエ : 「ああそう」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「ダメだと思ったら素直に伝える、正しいと思うからやってみる」
「そんな事をしただけよ」
[メイン] クロエ : 「ま、人間の選択を機械が決めるのもおかしな話だけどね」
[メイン]
クロエ :
「何か思うところがある?」
真希を見て
[メイン] 獅童真希 : 「…………僕は……この子に、負けた、その事実がある、そして、こうして生かされている」
[メイン] 獅童真希 : クロエを見て。
[メイン] 獅童真希 : 「………強く叶えたいと望む夢はある……でも、その夢を掴むには、果てしなく遠い道のりを歩かなきゃいけないことも、知っている」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……そう」
[メイン] 獅童真希 : 「……だから、僕は……"夢"のためには……手段を、択ばないつもりでいる」
[メイン] ヴェンデッタ : 慈しむような視線を向けつつ、真摯に言葉に耳を傾ける
[メイン] クロエ : 神妙そうに
[メイン]
獅童真希 :
「………この子の、僕の夢を叶えてくれるという言葉の真偽は、分からない」
クロエの方を一瞥し。
[メイン] 獅童真希 : 「………それでも……僕は……今の僕には、選択肢が、無いんだ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……あら」
[メイン] 獅童真希 : 「………こうするしか、ないんだ」
[メイン] 獅童真希 : 「……人生の答えとか、僕は、分からないけど……」
[メイン]
クロエ :
「…アナログだから色々困るね」
肩を竦めつつ
[メイン] クロエ : 「そりゃま、可能なら指揮権限でもあげてたけどさ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……」
[メイン] 獅童真希 : 「………意地汚く抗う覚悟は、持ってる……つもり、だよ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……男の子みたいな宣言ね、もっとお淑やかに……って言いたいけれど」
[メイン] 獅童真希 : 「はは……よく言われるよ……」
[メイン] ヴェンデッタ : 「今は戦いの真っ最中だし、我慢するわ」
[メイン] 獅童真希 : 「………ああ、そうだ……今この場は、戦場だ」
[メイン] クロエ : 「そーかい、じゃあ」
[メイン] 獅童真希 : 「そして……最後の一人にならないと、"夢"は叶えられない」
[メイン]
クロエ :
「約束通り頑張るけど、さ」
ため息交じり
[メイン] 獅童真希 : ヴェンデッタ、そしてクロエを一瞥しつつ。
[メイン] 獅童真希 : 「………ああ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……そっか」
[メイン] クロエ : 「…しかしまぁ、ちょっと困ったな」
[メイン] クロエ : 「他に誰かいたとして、そっちも大分必死にやってるかもしれないのか」
[メイン] ヴェンデッタ : 「願いが叶う……と聞けば、大抵血眼で頑張るわよね」
[メイン] クロエ : 「…っとなると、和解しても願いの権利で色々ゴタつくな」
[メイン] クロエ : 「どうしてそこまで信じれるのかもちょっと不思議だけどね、まぁそれだけしたい事があるのは良いのだろけど」
[メイン] ヴェンデッタ : 「保証があるから、前例を知っているから」
[メイン] ヴェンデッタ : 「もしくは信じざるを得ないから」
[メイン] クロエ : 「ふうん…」
[メイン] 獅童真希 : ……………その言葉は、僕の胸に深く刺さった。
[メイン] ヴェンデッタ : 「色々でしょうけど、必死の相手はバカにできないわ」
[メイン] クロエ : 「まー、いいさ」
[メイン] クロエ : 「バカにはしない、けど」
[メイン] 獅童真希 : まさしく、今の僕の姿を照らしている。
[メイン] クロエ : 「今回みたいに味方になれるかもわからない、ってわけだろ」
[メイン] クロエ : 「私は作戦でここにいる、願いを求めて送り込まれた」
[メイン] ヴェンデッタ : 「そうね……無理って人の方が大体だった筈だし」
[メイン] クロエ : 「でも私は願いを叶えるんだか叶えさせるんだかもわかってないの」
[メイン] ヴェンデッタ : 「あら……」
[メイン]
クロエ :
「正直、これで作戦対象とかと敵対しても困るんだけどね」
苦笑いしつつ
[メイン] 獅童真希 : 「…………」
[メイン] クロエ : 「…ま~いい」
[メイン] ヴェンデッタ : 「それはそうでしょうね、さて」
[メイン] クロエ : 「ともかく」
[メイン] クロエ : 「約束するとまで言ったから、真希の願いは叶えてやりたいけど…」
[メイン] クロエ : 「それで面倒にならなきゃいいなってのが、今の思う所だよ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「面倒、色々浮かぶけど……例えば?」
[メイン] クロエ : 「敵対」
[メイン] クロエ : 「望んで戦いに来たわけじゃないんだし」
[メイン]
獅童真希 :
「…………」
……やっぱり僕は、あまりこの子が、分からない……。
でも……嘘を吐いているとは、思えない……僕の感性でしかないが……。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……じゃ、そんな場所で最後まで戦い抜けたとして、最後は死んでちょうだいな」
「だと納得いかないわよね」
[メイン]
獅童真希 :
………作戦が、どういう作戦なのか。
何故僕に協力を持ちかけてくれるのか……。
もし僕の夢が叶いそうな時は、この子は、果たして僕のために死んでくれるのか……。
[メイン] クロエ : 「まぁ、計算狂ったのはある」
[メイン] 獅童真希 : 「………」
[メイン] クロエ : 「だって、初手相手が人間だったからね」
[メイン] クロエ : 「んで次が半分…」
[メイン] クロエ : 「…戦術人形とかメジャーじゃないみたいだしさ」
[メイン] クロエ : 「もしかして他にも人間いっぱい来てるワケかな…」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……ここ、色々ややこしいのよね」
[メイン] 獅童真希 : 「…………戦術人形に関しては……あ、ああ……僕は……聞いたことが、無いな……」
[メイン] クロエ : 「っとなると」
[メイン] ヴェンデッタ : 「間違いなく、残ってるのはほぼ人間なのでしょうけれど……時々、別世界の人まで入ってくるし」
[メイン] クロエ : 「もし敵対するなら、次の相手も人間かもだ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「残念ながらね」
[メイン] 獅童真希 : ……隔世にある概念の一つかと、僕は思っていたが……合っているのだろうか……。
[メイン] クロエ : 「…まあいい」
[メイン] クロエ : 「こんなもん曖昧に設定した方が悪いってことにする」
[メイン] クロエ : 「取り敢えず戦うしかないなら、戦う」
[メイン] ヴェンデッタ : 「そうね…」
[メイン] クロエ : 「っつーことで」
[メイン] クロエ : 「仮だし制式じゃないけど、そういう所で味方しとくから」
[メイン] クロエ : 「…叶えるんでしょ、結芽って子の為」
[メイン]
獅童真希 :
「…………」
この盾の子は、なんというか……僕よりも……『強い』、な……。
……"人"を傷つけないという考えを、貫き通している……。
[メイン] ヴェンデッタ : 「よろしく、後でいろいろあるかもしれないけれど」
[メイン] 獅童真希 : 「……!……ああ……」
[メイン] クロエ : 「まー」
[メイン] クロエ : 「先着順って事だ、相当なことが無い限りその時はその時でね」
[メイン]
獅童真希 :
僕は、その問いに、肯定を示す。
そうだ、これが僕の望みであるということは、絶対的に変わらない事実なのだから……。
[メイン] クロエ : 「じゃあ行くか」
[メイン] ヴェンデッタ : 「そうね」
[メイン] テネブレア : 「あーあ、つまんない」
[メイン] 獅童真希 : 「………!?」
[メイン] テネブレア : クロエの背後に現れる
[メイン] ヴェンデッタ : 「……!?」
[メイン] クロエ : 「っと!?」
[メイン] 獅童真希 : なっ……!?また、気配を……僕が、見逃したというのか……!?
[メイン] クロエ : 楯を構えて、振り返る
[メイン] ヴェンデッタ : 唐突に、継ぎ足されたようにそこにいた敵に目を見張る
[メイン] クロエ : 「今度こそ人形かぁ!?」
[メイン]
獅童真希 :
御刀に手を添え、低く構え
新たに現れた主を、じっと見る。
[メイン] テネブレア : 「個と個がぶつかり合うから楽しいのに…それにお人形さんも願いが無いなんて可愛そうね…」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……人を言えた義理はないけど、影が薄いのね。気付かなかったわ」
焦りを隠すように、減らず口を口に出す
[メイン] 獅童真希 : 「………なんだ……君も……なぞなぞをしに来たのかい……!」
[メイン] クロエ : 「おいおい、無いわけじゃないさ」
[メイン] クロエ : 「好きなアニメの新作とか、予約逃したプラモとか」
[メイン] 獅童真希 : ……奇襲をせずに、盾の子の間合いに、入るだけ入った。
[メイン] テネブレア : 「なぞなぞ?そうねぇ…」
[メイン] クロエ : 「でもそういうのは作戦次第なんだよ」
[メイン]
獅童真希 :
いつでも殺せるという意を示すため……。
だから……この桃色髪の少女は……おそらくは……交渉のために来ている……
……のだろう、か……。
[メイン] クロエ : 楯越しに、呟きつつ
[メイン] 獅童真希 : クロエの冗談を耳にしながらも、真希の表情は緊張一色。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……油断しちゃダメよ」
真希へ呟いた
[メイン]
テネブレア :
「じゃあ…私が貴方に願いの使い方を教えてあげる…」
手を振り翳し炎を出しクロエと他の2人の位置を引き剥がす
[メイン] クロエ : 「っとぉ!?」
[メイン]
獅童真希 :
「……!……あ、ああ……」
ヴェンデッタに、小声で返事をし。
[メイン] 獅童真希 : 「………なっ!?」
[メイン] クロエ : 「…言っとくけど先着順だ、願いの権利は渡せないけど?」
[メイン] テネブレア : 「うーん…ちょっとやりすぎちゃったかしら…?怪我はないといいのだけれど」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……っ!?」
助言もそこそこに、肌を焦がす熱量へと目を向ける
[メイン] 獅童真希 : 咄嗟に、ヴェンデッタを抱え
[メイン] 獅童真希 : 身を焦がせんとする炎から距離を離す。
[メイン] クロエ : 楯を持ったまま軽く距離を測る
[メイン] 獅童真希 : 「はぁ……はぁ……!」
[メイン]
テネブレア :
「願いなんて私にはどうでもいいもの」
クロエに近づく。
[メイン] テネブレア : 「じゃあ…この子を連れて行くわね?」
[メイン] クロエ : 「はぁ…っと」
[メイン] 獅童真希 : 「………い、今のは、一体どこから攻撃が……!?……構えが、無かった……何より、なんだ……!?"ノロ"の力、なのか……!?」
[メイン] 獅童真希 : 「………な、に……?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……あら、貴女も誰かが目当てだったの?」
[メイン] クロエ : 「何処に連れてくつもりだよ、私は面白い事には欠けてるぞ」
[メイン] 獅童真希 : テネブレアを、キッと睨み。
[メイン] テネブレア : 「えぇ、願いも持ってないのにここに参加させられてるお人形さんなんて面白いじゃない」
[メイン]
ヴェンデッタ :
対象は違うが自身と同じ目的でここに近づいた…
それにしては──
[メイン] 獅童真希 : ………そんな、こと……!
[メイン] ヴェンデッタ : 「……まるでコレクターね」
[メイン] クロエ : 「面倒くさいことになったな…早速!」
[メイン] 獅童真希 : あの盾の子を見捨てて……僕は……夢を叶えられる資格があるのか……?
[メイン] 獅童真希 : ……そんなもの、無いッ!
[メイン] ヴェンデッタ : 「趣味が悪いわ、それに限定品なら迷わずに……なんて踊らされてると思わない?」
[メイン]
獅童真希 :
”写シ"。
エネルギー体に身を包み
[メイン]
テネブレア :
「そう言う事だから…また会いましょう…」
クロエと共に幻想に消える
[メイン]
獅童真希 :
"迅移"。
瞬きの内に、テネブレアのもとへ飛び出すも─────。
[メイン] 獅童真希 : 「………なっ……!?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「………」
[メイン]
クロエ :
「…無事でいろよ!」
最後に振り返り
[メイン] ヴェンデッタ : 捉え損ねたわね
[メイン] 獅童真希 : 今、確かに、"ここ"にいたはずじゃ………!?
[メイン] 獅童真希 : 辺りを見渡すも、もう既に、2人の姿は無く─────。
[メイン] 獅童真希 : 「………くッ……!」
[メイン] 獅童真希 : ……また僕は……"負けた"。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「………いえ、これは」
少し、手先から光体を発したかと思えば──
[メイン]
獅童真希 :
「………!!」
ヴェンデッタの方を向き。
[メイン] ヴェンデッタ : 炎は瞬く間に消えていった
[メイン] ヴェンデッタ : 「……幻覚、というわけね」
[メイン] 獅童真希 : 「………幻覚……だと……?」
[メイン] 獅童真希 : いや、それよりも……。
[メイン] 獅童真希 : 「……今のは、一体………」
[メイン] ヴェンデッタ : 「ええ、思わず炎に慄いてしまったけれど……アレもおそらく」
[メイン] 獅童真希 : 「……………ふむ……」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……感覚さえ騙す、厄介な相手よ」
[メイン] 獅童真希 : 「………まんまと、踊らされてしまったというわけか……」
[メイン] 獅童真希 : 「……クソッ!!」
[メイン] 獅童真希 : 酷く悔しそうな表情を見せ。叫ぶ。
[メイン] 獅童真希 : 「………………こんな体たらくで……僕は、一体……何のために、ここにッ……!」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……悔しいのはわかるけど、気を落とさないで」
[メイン] 獅童真希 : 「っ………あ、ああ……すまない……」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……謝らないの、別に怒られたわけじゃないんだから」
困ったように微笑んで、少し考え込むと
[メイン] 獅童真希 : 「……ぁ……そ、そうだな……すまな……あ、いや……何でもない」
[メイン] 獅童真希 : また謝ろうとして、訂正。
[メイン] 獅童真希 : 「……………」
[メイン]
獅童真希 :
白髪の少女と2人きりになり、小さい体ながらも
そこに宿す、確固たる意志、そして力に、改めて何か感じるものがあり。
[メイン] 獅童真希 : 「………僕は……あの盾の子を、探したいと思う」
[メイン] 獅童真希 : 弱々しい声音で。
[メイン] 獅童真希 : 「………君は……どうする……?」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「貴女について行くわ、真希」
「あの娘をほったらかしにもしておけないものね」
[メイン] 獅童真希 : 「……ぇ……あれ……僕、名乗った、かな……?」
[メイン] 獅童真希 : 少し慌てた表情を見せながら。
[メイン] 獅童真希 : 「……えっと、いや、うん……そう、だね」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……あら」
[メイン]
獅童真希 :
そうだ、僕は、あの子に、戦場に残るための権利を譲ってもらった形となった。
……要は、借りがある。
だから、返さないと………僕の気が済まない。
[メイン] 獅童真希 : どうか、死なないでいてくれ……。
[メイン] 獅童真希 : 「………」
[メイン]
獅童真希 :
それにしても、この子は……なんだろう……?
最初に会った時よりも、どこか………。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「ムーッとした顔して、ほらもう少し気を楽にしておきなさい」
「貴女よりもあの盾の娘は強いんだから」
[メイン] 獅童真希 : 「……存外、優しいん、だね」
[メイン] 獅童真希 : 「……くっ……僕だって、強さには……一応、それなりに……」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「本当の事しか言わないだけ、むしろ残酷かもね」
言った通りにどうやら傷つけた事を察しながらも微笑んでいる
[メイン] 獅童真希 : 「………フ……そう、だね……真実は、いつも残酷だから、ね……」
[メイン] 獅童真希 : ヴェンデッタの微笑み、真希なりの笑みを返し。
[メイン] 獅童真希 : ………僕は、まだ弱いことを知った、この真実にも、向かわなくちゃいけない。
[メイン]
ヴェンデッタ :
……この娘は、いい娘なのね
本当に
[メイン]
獅童真希 :
「………すまない、その、1つだけ……いいかな……?……君の名前を、教えてもらってもいいかな……?」
……僕は、騙されやすいんだろうね、否定しない。
芯の無い人間と呼ばれても……うん……僕からは……何も言えない。
[メイン] 獅童真希 : ………でも、味方となってくれるのだとしたら………。
[メイン] 獅童真希 : 僕は、一人は……辛い………。
[メイン] 獅童真希 : ………はは、情けないね……。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「ええ、自己紹介も今更だけれど…」
「私はヴェンデッタ、よろしくね真希」
[メイン]
獅童真希 :
「あ、うん……ヴェンデッタか……覚えたよ、よろしくね、ヴェンデッタ」
微笑みながら。高身長ということもあり、少しかがみ、ヴェンデッタと視線を合わせ。
[メイン] 獅童真希 : 「……こんな弱い僕だけど……えっと、そうだな……君の人生の答え……」
[メイン] 獅童真希 : 「僕も……一緒に、見つける……っていうのは、共闘材料としては甘い……かな……?」
[メイン] 獅童真希 : 情けないような笑みを浮かべながら。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「───」
少しの間だけ、微笑みが解けて
[メイン] ヴェンデッタ : 「……ええ、とても嬉しいわ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「それ以上ない条件よ、喜んで引き受けさせてもらうわ」
[メイン] 獅童真希 : 「………!!」
[メイン] 獅童真希 : 分かりやすいように、パァっと表情が明るくなり。
[メイン] 獅童真希 : 「ありがとう……!よろしく頼むよ、ヴェンデッタ」
[メイン] 獅童真希 : ………"仲間"、か。
[メイン] 獅童真希 : ……ふふ、そうだ……昔は、こうだった。
[メイン] 獅童真希 : ……あったかいな……。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : やはり人1人いない、繁盛していたであろうファミレス内。
[メイン]
獅童真希 :
そこで真希は、傷ついた体を一旦休めるべく、ソファに座り。
厨房に置いてあった唐揚げを勝手に食べていた。
[メイン] 獅童真希 : 真希一人では、あの盾の少女を攫った女の居場所を突き止めることはできない。
[メイン] 獅童真希 : だから、この子に頼るしかない……。
[メイン] 獅童真希 : 「ムシャ……モグモグ……ヴェンデッタ、あの女は次、一体どこにいったと思う」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……そーね、あの様子だと好き勝手な遊撃に出たか、或いは籠って盾の娘に好き勝手してるか…」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……難しいわね」
[メイン] 獅童真希 : 唐揚げ定食を頬張りながら、ヴェンデッタに頷く。
[メイン] 獅童真希 : 口周りにはソースが若干ついている。
[メイン] 獅童真希 : 「……許せない、な……」
[メイン] ヴェンデッタ : 「幻影に騙されている間にあっという間に連れ去ら……」
[メイン] 獅童真希 : ……見知ったばかりとは言え……情が芽生えたのは、確かだ。
[メイン] 獅童真希 : 「…………」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「許せないのはあなたのマナーよ、しっかりしなさい」
ナプキンを手に取るとグイグイ真希の口元を拭こうとする
[メイン] 獅童真希 : 「むぐぅっ……!?もごもご……!す、すまない……」
[メイン] ヴェンデッタ : 「もう……お洒落なら、ソースなんかじゃなくてもっと真っ当な物で飾っておきなさい」
[メイン] 獅童真希 : 「……お、オシャレ……ふぅむ……」
[メイン] 獅童真希 : 改めて、ヴェンデッタの容姿を見て。
[メイン] 獅童真希 : 「……ヴェンデッタみたいに綺麗だったら、そりゃお洒落は楽しいだろうね」
[メイン] 獅童真希 : 無自覚に口説き文句を放つ真希。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「………」
ジト目で睨む
[メイン] 獅童真希 : 「……え」
[メイン] 獅童真希 : 「な、なんだい……?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「女の子なら、誰でもそういって欲しいんでしょうけど……嬉しいけれど」
[メイン] 獅童真希 : 少し困り眉になりながら。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「真希の事を棚上げにして褒められても、少し複雑よ」
「貴女はとっても素敵なんだから」
[メイン] 獅童真希 : 「………あ、す、すまない、なんだ……その……可愛い、の方がいいのか……?うん、ヴェンデッタは、可愛いからね……僕は、そういうのとはかけ離れてるし……」
[メイン] 獅童真希 : 「……ええっ……!?」
[メイン] 獅童真希 : 「す、素敵……ふ、ふむ………」
[メイン] 獅童真希 : 満更でもないような表情を浮かべながら。
[メイン] ヴェンデッタ : 「貴女を見ている人は多いでしょうね、綺麗なものは大抵目で追うもの」
[メイン] 獅童真希 : 「!? よ、よしてくれそういうのは……こっぱずかしくなる……」
[メイン] 獅童真希 : 「い、いや、それよりもだ!あの盾の子の居場所だ!そうだろう!?」
[メイン] 獅童真希 : 話を逸らすように、必死に。
[メイン] ヴェンデッタ : 「……そうね」
[メイン] ヴェンデッタ : 「もう少し可愛い貴女を独り占めしておきたいけれど、あの娘を放っておいたら悪いわ」
[メイン] 獅童真希 : くぅあっ……!?こ、この子は……!
[メイン] 獅童真希 : 耳元が少し赤くなりながらも。
[メイン] ヴェンデッタ : クスクスと笑っている
[メイン] 獅童真希 : 「……そ、そうだ、僕は……あの子を、見捨ててしまったら、僕は……僕を、許せなくなる…… ……って……!」
[メイン]
獅童真希 :
「……わ、笑わないでくれ……」
恥ずかしくなり、視線を逸らす。
[メイン] 獅童真希 : 「………」
[メイン]
獅童真希 :
……それにしても、僕は……この子……ヴェンデッタについて……何も知らないな……。
いや、会ったばかりなのだから、当然なんだが……。
[メイン] 獅童真希 : ………共闘する仲になるわけだ……知っておいても、損はない、だろう……。
[メイン] 獅童真希 : 「……なぁ、ヴェンデッタ、君は……どうして」
[メイン] 獅童真希 : 「人生の答えを探しているんだい……?」
[メイン] 獅童真希 : 「なんだろう……願いは……こう、俗物的なものというか……」
[メイン] 獅童真希 : 「………お金持ちになりたいとか……強くなりたい、とか……」
[メイン] 獅童真希 : ………死人を、生き返らせたい、とか。
[メイン] 獅童真希 : 「………私利私欲のためが……多いだろう……?……人生の答えを見つけて、君は一体……何を、得られるんだい……?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……そうね」
[メイン] ヴェンデッタ : 「逃げられないから、かもしれないわ」
[メイン] 獅童真希 : 「逃げられない……?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「ええ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「だって、生きていく以上……どうあがいても理由がいる」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「前に進むことは、正直に言うと辛いもの」
「歳をとって、体が弱くなって、大事な物は錆び付いて……」
[メイン] ヴェンデッタ : 「────大切な人は、いなくなる」
[メイン] 獅童真希 : 「──────────」
[メイン] 獅童真希 : ………ああ、その言葉は……僕に、深く刺さる。
[メイン] 獅童真希 : 表情が沈んでいく真希。
[メイン] 獅童真希 : 「………ああ……そう、だね……」
[メイン]
獅童真希 :
僕も『強さ』を求め続けてる、でもその道は、果てしない。
どんなに進んでも、進んでも、進んでも。
[メイン]
獅童真希 :
結局、越えるべき壁が立ちふさがる。
追い続ける背中が、先頭を走っている。
[メイン] 獅童真希 : 前に進むは……辛い。
[メイン] ヴェンデッタ : 彩度を落とす、太陽のようにも感じる相手を前に……暫し、息を吸って
[メイン] ヴェンデッタ : 「だから、“勝利”を求めるの」
[メイン] 獅童真希 : 「…………」
[メイン] ヴェンデッタ : 「楽な方に逃げないように、生きてきた事を真っ直ぐと誰かに誇れるように」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……いつか、失くしたと思った者にも微笑めるように」
[メイン] 獅童真希 : ……そうか、ヴェンデッタは……辛いからこそ、その辛さを乗り越えるために、何かが欲しいんだ。
[メイン]
獅童真希 :
……それが、"勝利"。
手にして、己の心を満たす絶対的な象徴。
誰にも臆せずに誇れるもの。
[メイン] 獅童真希 : 「………すごいね……ヴェンデッタは……偉いよ……」
[メイン] ヴェンデッタ : 「あら、そうかしら……?」
[メイン] 獅童真希 : 「うん、だってそうさ……己を律する、そうして充実した、後悔しない人生を歩もうとする……立派さ……」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「みんな、そうしてるわ」
「少し気付くのが遅れてるだけよ」
[メイン] 獅童真希 : 「誰にも真似できることじゃないさ……そしてその心、魂の輝きが、この世界が君を欲した、というわけなんだろうね……」
[メイン] 獅童真希 : 「…………そう、かな……」
[メイン] ヴェンデッタ : 「ええ」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「貴女もそうよ、きっとね」
頬を突きながら、笑みを浮かべる
[メイン] 獅童真希 : 「あぅ、や、やめてくれよ……」
[メイン] 獅童真希 : 困り顔を見せながらも、どこか、嬉しそうに。
[メイン] 獅童真希 : 「…………ん、ありがとう」
[メイン] 獅童真希 : 「……そんな君が味方でいてくれるのなら、僕も……心強いよ」
[メイン] 獅童真希 : 「僕は………失ったものに、ずっと手を伸ばしているだけの、腑抜けた刀使だからね……はは」
[メイン] 獅童真希 : 「……誇れるような生き方か……分からないよ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……そうかしら?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「失った事を思い出す事も、向き合う事も正しい事、だからこそ……」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「できない人の方が多いわ」
「……貴女とは違ってね」
[メイン] 獅童真希 : 「……………」
[メイン] ヴェンデッタ : 「少し、歪んではいるけれど……貴女は今、必死に痛みに耐えて生きている」
[メイン] ヴェンデッタ : 「それは、立派なことよ」
[メイン] 獅童真希 : ………きっとそれは、僕が、欲しかった言葉だったんだろう。
[メイン] 獅童真希 : 胸が、熱い。
[メイン] 獅童真希 : 込み上げてきた想いは、抑えきれず。
[メイン] 獅童真希 : 涙腺まで、熱くなって……。
[メイン] 獅童真希 : 「………ありが、とう……」
[メイン] 獅童真希 : 真希が『強さ』を求める理由は、仲間を守れる力を手に入れるため。
[メイン] 獅童真希 : 仲間を守る理由は何か……?
[メイン] 獅童真希 : ─────理解が欲しいから。
[メイン] 獅童真希 : ぽたぽたと、机に黒い点々とした染みが形成される。
[メイン] ヴェンデッタ : 「……本当に、頑張ってきたのね」
[メイン]
獅童真希 :
「………はは……」
自嘲の笑みを浮かべながら。
[メイン] ヴェンデッタ : 零れ落ちる涙は、まさしく努力の証左なのでしょう。静謐な瞳が映した潤みに対して、少し見惚れ、慈しむ
[メイン] 獅童真希 : 目元を腕で擦り、涙を拭い取り。
[メイン] 獅童真希 : 「……すまない、情けないところを見せてしまった……うん、本当に、ありがとう……」
[メイン] 獅童真希 : 「………心の整理が、できた気がしたよ」
[メイン] 獅童真希 : ……僕が、本当にやるべきことは何か。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……いいえ、嬉しかったわ」
「私が、貴女の涙に相応しいと認めてくれたのだから」
[メイン] 獅童真希 : ………結芽を生き返らせる?
[メイン]
獅童真希 :
…………違う、よね。
僕は、失ったものばかりに目を向け続けて、それで不貞腐れていた。
[メイン] 獅童真希 : ………僕の本当の望みは──────────。
[メイン] 獅童真希 : ──────────『強くなること』。
[メイン] 獅童真希 : 「……ふふ、ヴェンデッタは本当に……」
[メイン] 獅童真希 : 「……君は本当に優しいよ……君が人生の答えを見つけた時………一緒に、最期まで歩み続ける誰かがいるのだとしたら……」
[メイン] 獅童真希 : 「その人は本当に幸せ者だろうね……羨ましい限りだよ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……なら」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「貴女と……歩みたい」
「私は、真希と一緒に見つけてみたい」
[メイン] 獅童真希 : 真希とヴェンデッタしかいないファミレス内で、一瞬の静寂。
[メイン] 獅童真希 : とくん。
[メイン] 獅童真希 : 真希の心臓が、跳ね上がる。
[メイン] 獅童真希 : ─────え。
[メイン] 獅童真希 : 呆然とした表情で、ヴェンデッタを見つめる。
[メイン] 獅童真希 : 「……ぼ、僕と……かい……?」
[メイン]
獅童真希 :
不意打ちを受けた時のような表情。
狼狽、困惑、そして、歓喜。
[メイン] ヴェンデッタ : 「ええ、貴女と」
[メイン] 獅童真希 : 「─────あうぅ……」
[メイン] 獅童真希 : 顔が、真っ赤に染まる。
[メイン] 獅童真希 : 男らしい短髪の、男らしい体格の、男らしい願いを持った少女が、縮こまる。
[メイン] 獅童真希 : 恥ずかしそうに、頬を掻く。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……もう、女の子らしいのはいいけど相手もそうなのよ?」
「まるで獣を前にしたみたいに……」
頬を少し膨らませ怒った様なフリをする
[メイン] 獅童真希 : 「………ご、ごめ、んっ……突然の、ことで、その、心の、整理が……うぅぅ……」
[メイン] 獅童真希 : 「……えっと、そ、その……す、すまな、い……僕は、その………本当に……」
[メイン] 獅童真希 : ドキ、ドキ、ドキ、ドキ、ドキ、ドキ。
[メイン] 獅童真希 : 純粋な好意を、間近でぶつけられたのは、人生で初だった。
[メイン]
獅童真希 :
だからこそ、真希は揺らめいていた。
頭が、真っ白になっていた。
[メイン] 獅童真希 : 「…………そ、その……少し、だけ……考えさせてもらっても、いい、だろうか……?」
[メイン] 獅童真希 : ……ぐぅぅ……なんて、情けない……んだ、僕は……。
[メイン] ヴェンデッタ : 「……ふふ」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「ええ、構わないわ」
「こうなる事は少予想できていたし……」
[メイン] 獅童真希 : 「!!!い、いや!!待ってくれ!!」
[メイン] 獅童真希 : ヴェンデッタへ、ずい、と顔を近づけ。
[メイン] ヴェンデッタ : 「まあ」
[メイン] 獅童真希 : 「ちゃんと……ちゃんと、答えは、出す……!!!」
[メイン] ヴェンデッタ : 少し頬を赤らめ
[メイン] 獅童真希 : 「だから、その……本当に、すまない……!!……ぁ……」
[メイン] 獅童真希 : ………可愛い……。
[メイン] 獅童真希 : 「………すまない」
[メイン] 獅童真希 : 元の位置へ、ゆっくりと戻る。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……謝らなくて、いいのに」
頬は少し赤いまま、困ったように微笑んだ
[メイン] ヴェンデッタ : 「……それに、貴女が答えを誤魔化すような人じゃないのも知っているわ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「だから、待っても平気なの」
[メイン] 獅童真希 : 「っ……み、見抜かれているようで、なんだか恥ずかしいな…… ………でも……ありがとう」
[メイン] 獅童真希 : 「……ありがとう、ヴェンデッタ」
[メイン] 獅童真希 : 「……必ず、答えを出すし……それに……」
[メイン] 獅童真希 : 「必ず、君を守るよ」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……まるで、王子様みたい」
少し、顔を隠し溶けてしまう表情を整える
[メイン] 獅童真希 : 「……はは、じゃあ、ヴェンデッタは……お姫様かな?」
[メイン] 獅童真希 : ニコ、と笑い。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「そうかもね、糸車に刺された後は棺の中で待ってるわ」
黒い冗談を返して、なんとか照れを払拭する
[メイン] 獅童真希 : 「!?何を言ってるんだい!?だから僕は君を守るって……はぁ……」
[メイン] 獅童真希 : 「……ふふ」
[メイン] 獅童真希 : 微笑みながら、席を立ちあがり。
[メイン] 獅童真希 : 傷が治ったのを確認するように、腕を少し動かし。
[メイン] 獅童真希 : 「……よし、十分みたいだ」
[メイン] 獅童真希 : 「………ヴェンデッタは、大丈夫かい?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「ええ、もちろん」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「貴女が一緒なのだもの、大丈夫じゃないなんてあり得ないわ」
席を立ち、真希に手を伸ばす
[メイン]
獅童真希 :
「……ああ」
その手を取り。
[メイン] 獅童真希 : 夕陽の射す、ファミレス外の道路を見る。
[メイン] 獅童真希 : ……僕の夢は、強くなること。叶えたい夢は……。
[メイン] 獅童真希 : ……この手を取ってくれる……えっと、な、仲間!……を、守ることだ。
[メイン]
獅童真希 :
………うん、もし、この戦いに勝てたら………。
……ヴェンデッタと、共に生きる道も─────。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : そうして、王子様とお姫様は、血に汚れた戦場へと旅立ちましたとさ。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ : そこには
[メイン] クロエ : 傷の無い、あの時と同じままの
[メイン] クロエ : 人形が一人、やってきた
[メイン] 獅童真希 : 「………!!」
[メイン]
クロエ :
「真ー希」
手を振る
[メイン] ヴェンデッタ : 「………あら」
[メイン] クロエ : 「よかった、無事だった」
[メイン] 獅童真希 : 「見つけた……!!!」
[メイン] クロエ : にこりと
[メイン] 獅童真希 : 「ああ……!僕達は無事だ……!それに、君も無事でよかった……!!」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……」
少し、見つめて
[メイン] 獅童真希 : 安堵の表情を浮かべる真希。
[メイン] クロエ : 「ふふ、ああ」
[メイン] 獅童真希 : 「アイツを倒せたのか……すごいなクロエは」
[メイン] クロエ : 「本当によかった、叶わないなんてあって欲しくないから」
[メイン] クロエ : 「?ああ」
[メイン] 獅童真希 : 特に警戒もせずに、クロエの下へ歩いていく。
[メイン] クロエ : 「二人も倒したさ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「…待って」
[メイン] 獅童真希 : 「………?」
[メイン] クロエ : 「"君"のために」
[メイン] 獅童真希 : 二人……?
[メイン] クロエ : 平然と
[メイン] ヴェンデッタ : 「……ねえ、クロエ」
[メイン] 獅童真希 : そして、ヴェンデッタの声に、立ち止まる。
[メイン] クロエ : 「?ああ…」
[メイン] 獅童真希 : 「なっ……え……」
[メイン] クロエ : 「どうかした?」
[メイン] 獅童真希 : 「……僕の、ため、に……?君は……え………?」
[メイン] 獅童真希 : 情報が呑み込めずに、狼狽する。
[メイン] ヴェンデッタ : 「貴女、真希と戦った時の傷、どうやって消したの?」
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] 獅童真希 : 「…………!」
[メイン] 獅童真希 : そう言えば……!
[メイン] クロエ : 「ああ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「まるで生まれ変わったみたい」
[メイン] 獅童真希 : ヴェンデッタの言葉にハッとし、クロエの体を見るも……。
[メイン] クロエ : 「"直した"だけだけど」
[メイン] 獅童真希 : 「……なお、した……」
[メイン] クロエ : 「私は機械だよ?」
[メイン] クロエ : 「それにほら」
[メイン] クロエ : 「真希の前に、汚いままは、さ?」
[メイン] クロエ : 苦笑い、すこし控えめに
[メイン] 獅童真希 : 「……は、はは……なるほど、な?うん、そう、だね、クロエは、やっぱり優しいね」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……」
[メイン] 獅童真希 : 「ほら!ヴェンデッタ、普通のクロエじゃないか!」
[メイン] 獅童真希 : 「……良かった……本当に、全員無事で………」
[メイン] ヴェンデッタ : まるで、違和感が忍び寄ってきているようだ
[メイン] クロエ : 「…ああそうだ」
[メイン]
獅童真希 :
「………?」
ヴェンデッタの表情に、首を傾げ。
[メイン] クロエ : 「ねえ真希、君は色々信頼しかねていただろ?」
[メイン] 獅童真希 : 「……ん?」
[メイン] 獅童真希 : クロエの方を向き。
[メイン] ヴェンデッタ : 何かがおかしい、第六感がやかましい程に何かを告げている
[メイン] 獅童真希 : 「いや……そこは、もう大丈夫さ!」
[メイン] 獅童真希 : ニコ、と笑い。
[メイン] クロエ : 「私の信頼をあげるのは難しいけどさ」
[メイン] クロエ : 「昔の記述を思い出したんだ」
[メイン] 獅童真希 : 「ヴェンデッタは、僕達の大切な仲間だよ!」
[メイン] クロエ : 「うん、じゃあ…私もそうなりたいしさ」
[メイン] クロエ : 「はい」
[メイン] 獅童真希 : 「……昔の記述……?……う、うん」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……ええ、そうね」
真希に縋るように、左手を真希の手に添える
[メイン] クロエ : 真希に銀の指輪を渡す
[メイン] 獅童真希 : 「………えっ……!?」
[メイン] クロエ : 「誓約烙印っていうシステムがあってさ」
[メイン] 獅童真希 : ドキッ、とし。
[メイン] クロエ : 「戦術人形って基本は組織のモノだけど」
[メイン]
獅童真希 :
「……ふ、む……?」
……これ……結婚指輪……じゃないかい……?
[メイン] クロエ : 「まぁ、個人のモノに"なりたいこと"もあるし」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……そう」
[メイン] 獅童真希 : ヴェンデッタの手を、握り返し。
[メイン] クロエ : 「もしよかったら付けてくれないかい?」
[メイン] 獅童真希 : 「………ふむ……?」
[メイン] クロエ : 「私の全部をあげるよ」
[メイン] 獅童真希 : よく分からない、と言った表情で。
[メイン] クロエ : 「真希の願いの為に」
[メイン] 獅童真希 : 「……ぜ、全部は、大丈夫だよ、それにほら……」
[メイン] クロエ : にこりと笑う彼女の手には、既に同じものが嵌めてある
[メイン] 獅童真希 : 「クロエにだって、クロエのやりたいこととか、たくさんあるだろう?」
[メイン] クロエ : 「?」
[メイン] クロエ : 「ああ」
[メイン] クロエ : 「でも真希の為が一番さ」
[メイン] 獅童真希 : 「え…………」
[メイン]
ヴェンデッタ :
温もりが伝わる手
それを持っても根底にこびりつく不安が拭いきれない
[メイン] クロエ : 「約束もしたし、それがしたいと思った」
[メイン] 獅童真希 : クロエの手に付けてあった、同じ"ソレ"を見つめ。
[メイン] クロエ : 一歩
[メイン] クロエ : 「ここで果たすには」
[メイン] 獅童真希 : ヴェンデッタの手をまた、強く握りしめ。
[メイン] クロエ : 一歩
[メイン] 獅童真希 : 「………………」
[メイン] クロエ : 「最後の一人以外死ぬしかない」
[メイン] クロエ : 一歩
[メイン] クロエ : 「でもまぁ私はいいよ、君のために死ぬ」
[メイン] クロエ : 目の前
[メイン] 獅童真希 : 「……?」
[メイン] 獅童真希 : 「クロ、エ……?」
[メイン] クロエ : 「でも忘れたくないんだ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……」
[メイン] 獅童真希 : 目と鼻の先にある、君の顔。
[メイン] クロエ : 「君のことを」
[メイン] ヴェンデッタ : 「貴女は……」
[メイン] 獅童真希 : 「………………」
[メイン] クロエ : 笑みのまま、心から
[メイン] 獅童真希 : 「…………クロエ……」
[メイン] 獅童真希 : 「……その……」
[メイン] クロエ : 「?」
[メイン] 獅童真希 : 「─────────すまない……」
[メイン] 獅童真希 : 一歩
[メイン] 獅童真希 : 下がり
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] 獅童真希 : 頭を、下げる。
[メイン] クロエ : 「…?」
[メイン] クロエ : 「何を遠慮しているんだい?」
[メイン] 獅童真希 : 「…………確かに、君の想いは……伝わった、とても嬉しく思うよ」
[メイン]
獅童真希 :
「……でも……」
ヴェンデッタの方を向き。
[メイン] 獅童真希 : ニコ、と笑い。
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] 獅童真希 : 再度、クロエの方を向き。
[メイン] クロエ : error
[メイン] 獅童真希 : 「………僕は……受け取ることが……」
[メイン] 獅童真希 : 「できないんだ……」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……」
にこりと、ここに来て初めて微笑んだ
[メイン] クロエ : errorerrorerrorerrorerrorerrorerrorerrorerror
[メイン] クロエ : fatal errorを検出
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] 獅童真希 : 「……でも!ほら、クロエ!僕は君の"友情の証"は、本当に、嬉しく思うし……!!」
[メイン] クロエ : 「ミノタノス」
[メイン] 獅童真希 : 「……?」
[メイン] クロエ : 蹴りあげて
[メイン] 獅童真希 : 「……クロ、エ……?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……ッ!?」
[メイン] クロエ : 上空に爆散が、巻き起こる
[メイン] クロエ : 「ああそうか」
[メイン] クロエ : 「これもあのタチの悪い魔法なんだろ?」
[メイン] 獅童真希 : 「なッ──────────!?」
[メイン] クロエ : 「いいよ、"タダ"で終わらないんだ」
[メイン] 獅童真希 : 爆風に短髪と服が揺らめき。
[メイン] 獅童真希 : 「な、何をしているんだクロエ……!?」
[メイン] クロエ : 「最後まで付き合ってやる、クソったれピンク髪女」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……幻覚、とでも言いたいの?」
[メイン] クロエ : 巨神を前に、武器を構える
[メイン] 獅童真希 : 「………え」
[メイン] クロエ : 「私の願いは真希だ、だから」
[メイン] 獅童真希 : 信じられないものを見るような目で。
[メイン] クロエ : 「こうでもしたら狼狽えると思ったんだろ」
[メイン] クロエ : 「あははははは」
[メイン] 獅童真希 : 理解ができない、といった表情で。
[メイン] クロエ : 「私が、この程度でッ」
[メイン] クロエ : 「諦めるわけないだろ!!」
[メイン] 獅童真希 : 「なっ……!?お、おい!!クロエ!!?お前、何を……!?」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……真希、備えてッ!!」
[メイン] 獅童真希 : 「!!!!」
[メイン] ヴェンデッタ : 必死に声を張り上げる
[メイン] クロエ : ミノタノスが、一気に砲撃を浴びせる
[メイン] 獅童真希 : 咄嗟の出来事に。
[メイン] 獅童真希 : 身を守るための
[メイン] 獅童真希 : "写シ"が……
[メイン] 獅童真希 : ……張れず。
[メイン] 獅童真希 : 「なッ──────────!?」
[メイン] ヴェンデッタ : ────思考が、加速する
[メイン] クロエ : 「潰せ!!!」
[メイン] ヴェンデッタ : 砲弾の一つ一つは強力無比だ、普段の真希ならともかく……不意打ち気味に放たれたソレには対応が効かない
[メイン] クロエ : 「殺せ!!!払え!!消えろ!!消えろ!!!消えろぉおおおお!!!」
[メイン] ヴェンデッタ : ──真希が隣にいる
[メイン] クロエ : 「私の願いの邪魔するな!!!!」
[メイン] ヴェンデッタ : 一発、一秒、稼げば間に合う
[メイン] 獅童真希 : 分からない、一体、何が、起こっているんだ。
[メイン] 獅童真希 : クロエが、僕を、殺そうと、している……?
[メイン] 獅童真希 : 何故、何でだ……?どうしてだ……??
[メイン] ヴェンデッタ : ”押しのけた“
[メイン] 獅童真希 : 「─────ぁ」
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] クロエ : 「"知るか"」
[メイン] クロエ : どっちも、消えちゃえ
[メイン] クロエ : こんなの
[メイン] 獅童真希 : 混沌とした思考の中、体の重心がずれ。
[メイン] クロエ : クソみたいな"夢"なんだ
[メイン] クロエ : 砲火は止まらない
[メイン] 獅童真希 : そのまま、道の端へと、倒れる。
[メイン] ヴェンデッタ : 眼前の、真っ赤な光を置き去りにして飛来する砲弾の群れに一歩近づいて
[メイン] ヴェンデッタ : 両手を大きく広げ、憎悪の戦火の楯と身を捧げた
[メイン]
獅童真希 :
「─────ぐぁっ……!くっ……!!」
体に伝わった衝撃で、頭が臨戦に切り替え、咄嗟に体勢を整え、クロエを止めに向かおうとするも─────。
[メイン] 獅童真希 : 「………え」
[メイン] 獅童真希 : 目を、見開く。
[メイン] 獅童真希 : 「……ヴェン……デッタ……?」
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] クロエ : 「三人、目」
[メイン] 獅童真希 : ──────────え。
[メイン] 獅童真希 : ………??
[メイン] 獅童真希 : ????
[メイン] 獅童真希 : 何が、起こって、いるんだ?
[メイン] 獅童真希 : 戦場にいながらも、獅童真希は、茫然と立ち尽くしてしまう。
[メイン] ヴェンデッタ : 自分を突き抜けていく何か、その後に纏わりつくような衝撃に真っ二つに分断される
[メイン] 獅童真希 : そして、腹の底から込み上げる、ぐちゃぐちゃな感情。
[メイン] ヴェンデッタ : 風に転がされるダンブルウィードみたいに回転して、道の隅まで転げていく
[メイン] 獅童真希 : 「─────ヴェンデッタぁぁあああああああああああッッッ!!!!」
[メイン] 獅童真希 : "迅移"。
[メイン]
獅童真希 :
転がっていくヴェンデッタの下へ、瞬時に
音よりも、光よりも速く駆け寄り。
[メイン] クロエ : 「?」
[メイン] クロエ : ああ、ほんと
[メイン] クロエ : 嫌な幻覚だ
[メイン] 獅童真希 : 「そんな……!!!ヴェンデッタ……!!おい……!ヴェンデッタ……!!」
[メイン] クロエ : そっちを選ぶんだもんね、そうか
[メイン] 獅童真希 : 今にも泣き出しそうな顔で、ヴェンデッタの体を揺する。
[メイン] クロエ : 「そんなもんで躊躇うわけないじゃん」
[メイン] クロエ : もう一発
[メイン] 獅童真希 : 手に、真っ赤な鮮血が
[メイン] クロエ : 砲火を、今度こそトドメを
[メイン] 獅童真希 : べっとりと、くっつく。
[メイン] ヴェンデッタ : 「────」
[メイン] 獅童真希 : 「ぁ……あぁぁ………ぁぁぁぁぁ……」
[メイン] 獅童真希 : ─────必ず、君を守る。
[メイン] 獅童真希 : あれは、一体、何だったんだ。
[メイン] 獅童真希 : 「嘘、だろ、おい……どうして……」
[メイン] 獅童真希 : 次なる放火にも、迎撃の体勢すら取れず。
[メイン] クロエ : 「噓じゃない、"君"のためだ」
[メイン] クロエ : 「君のためなんだ」
[メイン] クロエ : ブツブツ呟く
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : 「五月蠅いッ!!!!!」
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] 獅童真希 : 「ヴェンデッタ!!!頼む!!!」
[メイン] クロエ : 「あああああああッ!!」
[メイン] 獅童真希 : 「返事をしてくれ!!!」
[メイン] クロエ : 「ミノタノス!!!!」
[メイン] クロエ : 「殺せッ!!!!」
[メイン] ヴェンデッタ : 声に、答えたかのように
[メイン] クロエ : ミサイルを、何発も
[メイン]
獅童真希 :
僕と、人生の答えを見つけるって……やくそ……。
……ぁ……。
[メイン] ヴェンデッタ : 手を、想い恋した人の頬に伸ばして
[メイン] 獅童真希 : 僕は──────────。
[メイン] 獅童真希 : ─────答えて、なかった。
[メイン]
獅童真希 :
その場が、スローモーションのようになる。
真希のすぐ背後から向かってくる、無数のミサイル。
[メイン]
獅童真希 :
今にも泣き出しそうな顔で、張り裂けそうな想いで
自分の頬に添えられたヴェンデッタの手に、自分の手を重ね。
[メイン] 獅童真希 : 「………ご、め、ん……」
[メイン] 獅童真希 : ぼたぼたと、大粒の涙を、溢す。
[メイン] ヴェンデッタ : 「……謝らないで、いいの」
[メイン] ヴェンデッタ : 後ろに、光が見える
[メイン]
ヴェンデッタ :
死を齎す火が、焼き尽くそうと追っている
嗚呼、だから……
[メイン]
ヴェンデッタ :
今、バラバラに消えていく全部を
粉々になっていく自分を全て、真希に差し出した
[メイン] 獅童真希 : 「………ヴェン……デッ……タ」
[メイン] 獅童真希 : 光の粒となっていく君を、見つめ。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : 「─────好きだ」
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : 目を閉じ。
[メイン] 獅童真希 : 時が、止まったようになり。
[メイン] 獅童真希 : 背後、僅か数cmにミサイル。
[メイン] 獅童真希 : 数コンマで衝突。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : 迅
[メイン] 獅童真希 : 移
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : 白い軌道を描き。
[メイン] 獅童真希 : 砲火の嵐の中を掻い潜るように、線を描き。
[メイン] 獅童真希 : 「─────はァァアアアアアッッ!!!!!」
[メイン] クロエ : 「…ぁ」
[メイン] 獅童真希 : 一閃。
[メイン] 獅童真希 : "仇"を。
[メイン] 獅童真希 : この手で、斬った。
[メイン] クロエ : "防がない"
[メイン] クロエ : 楯もない、心もない
[メイン] クロエ : もう願いも揺らいで
[メイン] クロエ : そこには、何もなかった
[メイン] クロエ : だからもう
[メイン] クロエ : "防げない"
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ : []
[メイン] クロエ : [Pledge-Stigma:獅童真希]
[メイン] クロエ : [Pledge-Stigma:]
[メイン] クロエ : [Pledge-Stigma:null]
[メイン] クロエ : [main-system:on-line]
[メイン] クロエ : [main-system:]
[メイン] クロエ : []
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ : 瞳を閉じる
[メイン] クロエ : …ある が言っていたな
[メイン] : 「貴女には願いが無くて可哀想」だと
[メイン] クロエ : そうかな
[メイン] クロエ : 私は願ってみたけど
[メイン] クロエ : 随分、悲しい気分になったよ
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ :
[メイン] テネブレア :
[メイン] テネブレア :
[メイン] テネブレア : 「あーあ、残念ね…可哀想な可哀想な…お人形さん」
[メイン] テネブレア : 「もう少しで願いを叶えられたのにね」
[メイン] テネブレア : 「かわいそう…」
[メイン]
獅童真希 :
「………」
御刀の先から、ぽたぽたと伝って降りていく、何かの液。
[メイン] 獅童真希 : その刀使は、この世界で出会ったもの、全てを、失った。
[メイン] テネブレア : 「良かったわね、貴方が優勝じゃないかしら?」
[メイン] 獅童真希 : 虚ろな目で、やるせなく、ただその"残骸"を、見つめていた。
[メイン] 獅童真希 : 「………………全部、返してくれよ……」
[メイン] テネブレア : 「貴女は願いを叶えられる。良かったわね、犠牲は大きそうだけど」
[メイン] 獅童真希 : 「………返してくれよ」
[メイン] テネブレア : 「……?返すって?私は別にこのゲームのマスターでも何でもないのよ?」
[メイン] 獅童真希 : 「……………」
[メイン] 獅童真希 : ゆっくりと首を動かし、テネブレアの方を向く。
[メイン] 獅童真希 : 「………じゃあ……お前は、何だ?……敵だな?そうだな?」
[メイン] テネブレア : 「貴女の当初の願いを叶える、それで良いじゃない」
[メイン] テネブレア : 「敵?敵なのかしら?私はただあの可哀想なお人形さんに願いを教えただけよ?」
[メイン] テネブレア : 「自分の願いを叶えなきゃ、この戦いに意味はないじゃない?」
[メイン] 獅童真希 : 「─────」
[メイン] 獅童真希 : "あの可哀想なお人形さん"?
[メイン] 獅童真希 : 「………クロエを、狂わせたのは……お前か?」
[メイン] 獅童真希 : 「……ヴェンデッタを、殺したのは、お前か……?」
[メイン] テネブレア : 「狂わせた?そんなことはしてないのだけれど」
[メイン] テネブレア : 「私は手を下してないわ、貴女も見ていたじゃない」
[メイン] 獅童真希 : 「本当のことを言え」
[メイン] テネブレア : 「本当の事?これが事実なのだけれど」
[メイン] 獅童真希 : "液"の付着した御刀をテネブレアの喉元へ向ける。
[メイン] テネブレア : 「あら…私とやる気?」
[メイン] 獅童真希 : 悲しみが、怒りが、込み上げてくる。
[メイン] 獅童真希 : 手を下していない?何もしていない?
[メイン] 獅童真希 : ─────殺すぞ。
[メイン] 獅童真希 : お前は、弄んだんだよ。
[メイン] 獅童真希 : 人の心を、願いを、踏み躙って─────。
[メイン] 獅童真希 : 「ああ」
[メイン] 獅童真希 : 「……僕は、君を許せない、だからここで斬る。願いを叶えられるから嬉しい?……そんなわけあるか」
[メイン] 獅童真希 : 「僕は───────僕に恥じない生き方を選ぶ」
[メイン] テネブレア : 「そう」
[メイン] 獅童真希 : 「ああ、そうだな、もし願望があるとすれば……」
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : 「─────人生の答えを見つける」
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : 「それが僕の答えだ」
[メイン] 獅童真希 : 「さぁ、僕は望みを教えてやった」
[メイン] テネブレア : 「素敵ね…見つかると良いわね」
[メイン] 獅童真希 : 「お前は何がしたい」
[メイン] 獅童真希 : 「好き放題かき乱して退散か?」
[メイン] テネブレア : 「そうね…もう充分に愉しんだし…そろそろお開きね」
[メイン]
獅童真希 :
……"愉しむ"。
その言葉に、血流が熱く迸る。
[メイン] 獅童真希 : 「………終わらせてたまるか」
[メイン] : ただ、その声に呼応してか
[メイン] : 最後の最後まで抱いてた願いの為か
[メイン] : 切り捨てられた"本体"の傍に静かになっていた巨神は
[メイン] : テネブレアを取り押さえる為に、飛び込む
[メイン] テネブレア : 「あら…まだ動けたのね…願いの強さかしら」
[メイン] : ニューラル・クラウド、神経器官のその集合体
[メイン] : たとえそれがデータの欠片に還っても
[メイン] : 願いが呪いでも未練でも祈りでも残るのならば
[メイン] : 最期だけは躊躇いなく、守るために
[メイン]
獅童真希 :
テネブレアに、一瞬に生じた、隙。
真希から逸れる、ほんの数刻の意識。
[メイン] テネブレア : 「……………」
[メイン] 獅童真希 : 一閃。
[メイン] 獅童真希 : テネブレアの"脚"を、斬った。
[メイン] 獅童真希 : 喉でも、腹でも無く。
[メイン] テネブレア : 「あはははっ!貴方は甚振るのが趣味なようね…」
[メイン]
獅童真希 :
澱みの無い、人斬り。
されど、命は取らずに─────。
[メイン] 獅童真希 : 「……まだ笑うか」
[メイン] 獅童真希 : 血に濡れた刀の先を、テネブレアの眼前へ向ける。
[メイン] 獅童真希 : 「………名の知らない幻術師」
[メイン] テネブレア : 「……………」
[メイン] 獅童真希 : 「……お前の"望み"は、なんだ」
[メイン] テネブレア : 「私が愉しむことよ?もう叶ったわ」
[メイン] テネブレア : 「だから」
[メイン] テネブレア : 「貴方のために死んであげる」
[メイン] テネブレア : 眼の前に出された刀に向かう
[メイン] 獅童真希 : 「………!!」
[メイン] テネブレア : 「がっ………あはははっ……」
[メイン] テネブレア : 「あぁ…久しぶりに味わうわ…」
[メイン] テネブレア : 「これが死………ね……あはははっ…」
[メイン] 獅童真希 : 「お前………!?……なん、で……!!!」
[メイン] テネブレア : 「最期に………」
[メイン] テネブレア : 「貴方の他にももう1人いるかも知れないわね……?」
[メイン] テネブレア : 「ごはっ……」
[メイン] 獅童真希 : 「……もう1人……?」
[メイン] : 喉に強引に食い込んだ刀を強引しに自らの力で引き剥がし外に向かって倒れる。
[メイン] : 「あぁ…やっぱり……死ぬのは…痛いものね……」
[メイン] : 「はぁ……………」
[メイン] : 「───なぁに 浸っとるねん」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「連帯保証人。サインした以上……自分のもんじゃあらへん、そんなん聞いてませんって言い訳しても背負わにゃいかんやろ───」
[メイン] 櫻 美鳳 : ウチは
[メイン] 櫻 美鳳 : 息も絶え絶えの身体で、「1万円札」を光に変える───
[メイン] : 巨神は
[メイン] : 真希を守る為に、手足を捨てて
[メイン] : 楯に戻る
[メイン] 獅童真希 : 「…………!?」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「こんまま……終わる気かいな」
[メイン] 獅童真希 : 「君、は─────?」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「───ウチ? ウチは櫻 美鳳や。よろしゅーな……」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「まっ、つまりは……」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「あんさん以外の『最後の一人』や」
[メイン] 獅童真希 : 「最後の……」
[メイン] 獅童真希 : 「……僕は……獅童、真希……」
[メイン] 獅童真希 : 一陣の風が、真希の前髪と服を揺らめかせる。
[メイン]
櫻 美鳳 :
「…………本当、この世界は悪趣味やわ……か~~~っ! 人の心を弄ぶのに長けた何かが仕組んだんやろなぁって」
わざとらしく額に手を当て、目をくしゃっと瞑る。
[メイン] 櫻 美鳳 : 「けど そんな悪趣味なだけで終わったら……この世界の、それに」
[メイン] 獅童真希 : 「……………」
[メイン]
櫻 美鳳 :
「コイツの思う壺や」
先ほど自害した……女に目をやる。
[メイン] 獅童真希 : 「…………ああ、それは……僕も、同感だ」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「それにウチはあんさんと因縁が出来とるんや……名前は訊きそびれたけど……」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「そいつは、あんさんを『願い』にしとったんや」
[メイン] 獅童真希 : 「………」
[メイン] 獅童真希 : 「………つまり、君は……」
[メイン] 獅童真希 : 目を細め、メイフォンをじっと見つめる。
[メイン] 櫻 美鳳 : 「安心せい───堂々と立ちはだかる『敵』や」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「好敵手、でもええで」
[メイン] 獅童真希 : 「…………ああ」
[メイン] 獅童真希 : 御刀を、構える。
[メイン] 獅童真希 : 「…………僕は、ここで負けるわけにはいかない」
[メイン]
櫻 美鳳 :
一千万使い切って
五等の一万円しか拾えんかった
だから、この一瞬で勝負がつく───そう感じてた。
[メイン] 櫻 美鳳 : けれど、それでいい。
[メイン] 櫻 美鳳 : これは『勝負』だ。
[メイン] 櫻 美鳳 : 悪趣味な……『ゲーム』じゃあないんや。
[メイン] 獅童真希 : …………僕は、また、全てを失った。
[メイン] 獅童真希 : ………これじゃあ、また振り出しだ、はは……。
[メイン] 獅童真希 : 僕は、失ったものに手を伸ばそうとしている……。
[メイン] 獅童真希 : 全部、取り戻そうと、願おうとしている……。
[メイン] 獅童真希 : ………なぁ、ヴェンデッタ……僕は……。
[メイン] 獅童真希 : ……弱い、のかな。
[メイン] 櫻 美鳳 : 「……ど阿呆」
[メイン] 獅童真希 : 「………!」
[メイン]
櫻 美鳳 :
「確かに……ゲームオーバーになっても死なへんにしても
この世界では死んだも同然や きっと全てが白昼夢」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「それで片づけられる」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「けど……そんなに俯いとったら」
[メイン] 櫻 美鳳 : 「ほんまに全部「夢」で忘れてしまうやろ! いつかぁ!」
[メイン] 獅童真希 : 「……っ……!」
[メイン] 獅童真希 : 「………"ユメ"……」
[メイン] 獅童真希 : ………僕が、手を伸ばしていたもの。
[メイン] 獅童真希 : 「………ああ、そう、だね」
[メイン]
櫻 美鳳 :
───ウチも、なんて
そんな事はもうこの場には必要ない、胸に留めるだけで十分や
そして決して『忘れない』 たとえ全てが朧げになってもせめて輪郭だけは、そして名前だけは、あの腕の温もりは忘れへんように
[メイン]
櫻 美鳳 :
「まっ、なんや……臭い事言ってもうたな」
頭をぽりぽり掻いて
[メイン] 獅童真希 : 「………ふふ」
[メイン] 獅童真希 : 緊張が解れたように、笑みが零れる。
[メイン] 櫻 美鳳 : 「───あんさんには、味方がついとるな。二人も……ハーレムやんか~こりゃあ参ったわぁ~」
[メイン] 獅童真希 : 「……ありがとう、君のおかげで……今僕が、何をすべきなのか……見えたよ」
[メイン] 獅童真希 : 「……ハ、ハーレム……?」
[メイン] 獅童真希 : 「……いや、クロエとは、そういう関係じゃないっていうか……」
[メイン] 獅童真希 : 「ヴェンデッタとは………えっと………」
[メイン]
櫻 美鳳 :
「あっ あの子、クロエっちゅうんやな」
並々ならぬ因縁はあるけれど
[メイン] 櫻 美鳳 : 「『願い』に熱い子、やったで」
[メイン] 獅童真希 : 「…………」
[メイン] 獅童真希 : ………ああなってしまったとは言え。
[メイン] 獅童真希 : クロエは……何も見えなかった僕に、手を差し伸べてくれた、恩人だ。
[メイン] 獅童真希 : ……それだけは、変わらない事実だから。
[メイン]
獅童真希 :
……目の前に対峙する、メイフォンと名乗る少女に
クロエのことを褒められて……なんだか、嬉しく思う自分もいた。
[メイン]
櫻 美鳳 :
「まあウチもあんさんとその二人には負けへんで、こっちには無敵の相方がおるんやからなっ!」
───地に両腕を付こうと、つまりは……放電の準備をする。
[メイン] 獅童真希 : 「………」
[メイン] 獅童真希 : メイフォンの取る臨戦態勢を、じっと見つめる。
[メイン] 獅童真希 : ……一撃で決める、というわけか。
[メイン] 櫻 美鳳 : ───向こうも一撃で決める、っちゅーわけやな
[メイン] 獅童真希 : ………ああ、僕も……長期戦は難しい。
[メイン] 櫻 美鳳 : まっ、ウチ……長期戦はかなわんし
[メイン] 獅童真希 : 先程の"迅移"で、体に高負荷をかけてしまった。
[メイン] 櫻 美鳳 : ここまで来たとはいえ、今までの戦いでウチはガタが来とる。
[メイン] 獅童真希 : ………あの"迅速"を再び使えば、もう僕は使える力全て……使い尽きてしまうだろう。
[メイン] 獅童真希 : ………少し、心許ないな……。
[メイン] 獅童真希 : ああ……やっぱり、1人ぼっちは……寂しいな……。
[メイン] 櫻 美鳳 : 次の放電で、ウチは力を使い果たすやろな……。
[メイン] 獅童真希 : ヴェンデッタ………。
[メイン] 獅童真希 : クロエ…………。
[メイン] 櫻 美鳳 : 灯花───……
[メイン] : 楯が、弾けて
[メイン] ヴェンデッタ : ───こんなに近くにいるのに、しょうがないわね
[メイン] 獅童真希 : 「──────────っ……!!」
[メイン] : たった一人の背を今度は押す為に
[メイン] : 真希の、後ろに突き立つ
[メイン] : 使い果たす?
[メイン]
ヴェンデッタ :
姿は見えない、しかし幽玄の如き声は届く
……内側から響くようにして、全てを捧げ消えた少女の思念が響く
[メイン]
獅童真希 :
何だ……!?楯が……!!
それに……今の声は……幻聴、か……?
[メイン] : そんな事言うなら、そうだねー!
[メイン] 櫻 美鳳 : 「───……!」
[メイン] 獅童真希 : ……いや─────。
[メイン] : 『半分』
[メイン] 獅童真希 : ──────────二人とも……。
[メイン] : 持って行ってあげるよ!
[メイン] 獅童真希 : 張り詰めた表情が緩み、微笑みが零れる。
[メイン]
:
それで、おあいこ…だもんね
[メイン] 獅童真希 : ……ありがとう、はは……こんな情けない僕なんかに……。
[メイン]
櫻 美鳳 :
へへ……せや……おあいこや!
おおきに……ッ!!!
───……灯花ッ!!
[メイン]
櫻 美鳳 :
駆け巡る電流は海面を飛び交うトビウオのように跳ね
まるで無限に増幅していく。
[メイン]
獅童真希 :
背後にそびえる、クロエの楯。そして、思念として、頭に聞こえるヴェンデッタの声。
……僕は、1人じゃ、ない。それを……改めて……。
[メイン] 獅童真希 : 「………ヴェンデッタ……クロエ……"一瞬"で決める」
[メイン] 獅童真希 : 「………力を、貸してくれ」
[メイン]
櫻 美鳳 :
「ほんじゃあ…………!」
その時、ウチにだけそれはきっと気づいた。
───傘?
[メイン] 櫻 美鳳 : 傘。
[メイン] ヴェンデッタ : 『当たり前よ、私は貴女の全てなんだから』
[メイン] クロエ : [sub-system:on-line]
[メイン] ヴェンデッタ : 呼応するように、幽鬼の如き光子が世界を満たす
[メイン] クロエ : 電子の世界に残るのは0と1だ
[メイン] クロエ : でも
[メイン] クロエ : そんな冷たい二文字でも、愛は
[メイン] : 傘が、そうして。
[メイン] クロエ : 表現できるんだ
[メイン] : "お姉様"の、元に。
[メイン]
獅童真希 :
真希の周囲が、真っ白に、高出力のエネルギー体で包まれる。
この世界で、"最後"に使う最大の"写シ"。
[メイン] : きっとそれは、1人しか気づかなかったであろう。
[メイン]
櫻 美鳳 :
……宇宙の力でも降り注いでるような気分やで……灯花!
これを収縮させて……ビッグクランチからの……
[メイン]
ヴェンデッタ :
『あなたが迎えに来ない日に、私は醜く穢れてしまった
ああ、悲しい。蒼褪めて血の通わぬ死人の躯
よ、あなたに抱きしめられたとしても二度と熱は灯らぬでしょう』
最期の言葉を告げる時間がないのが惜しい
今は力を発揮する為に、言葉ではない唄を紡ぐ
[メイン] 櫻 美鳳 : 『ビッグバーン』ってわけやな!
[メイン] 里見 灯花 : ふふ、よーく知ってるね!
[メイン]
獅童真希 :
真希の体へ、パージされた楯が、武装として装着される。
僕を、守ってくれる……君の願いが籠った形として。
[メイン]
ヴェンデッタ :
『だから朽ち果てぬ思い出に、せめて真実をくべるのです』
異能操作の異能に託す勅令は断固とした機能停止、異能を纏おうが絶対に切り裂く無敵の剣に刀を変える
[メイン] クロエ : …私は
[メイン] 里見 灯花 : この傘は価値が付けられないくらい、かけがえないんだから─────
[メイン] クロエ : 君の為の"アイギス"だ
[メイン] 獅童真希 : 「──────────ありがとうッ!!」
[メイン] 里見 灯花 : ─────あなたの"力"で、何百倍にもの価値を付けて!
[メイン]
ヴェンデッタ :
『私たちは、私たちに、言い残した未練があるから振り向いて、振り向いて。冥府を抜け出すその前に』
冥府の底の道を越え、歩んで行く背中を見届ける
[メイン]
櫻 美鳳 :
せや、たとえ仮想世界でもこれは『現実』や
この仮想世界の何もかもが嘘っぱちでも……
ウチと灯花の間に芽生え巡る、星空……これは本当や!
[メイン]
ヴェンデッタ :
『物言わぬ私の骸を連れ出して───眩い星の輝きへと』
……最後まで、唄を終えると
[メイン]
獅童真希 :
獅童真希の愛刀、"吠丸"が、咆哮せんとばかりに
ヴェンデッタの咏で、真っ白に輝き─────。
[メイン] 里見 灯花 : きっとこれが、わたくしの『ドライヴ』。
[メイン] 櫻 美鳳 : これが、ウチらだけの『自由』や。
[メイン] 櫻 美鳳 : 「行くで─────灯花ァァッッ!!!」
[メイン] 櫻 美鳳 : ウチは、両腕を
[メイン]
櫻 美鳳 :
コンクリートに叩き込み、亀裂を広げると同時に
瞬く光の亀裂を空間に広げッッ!! 『放電』ッッ!!
[メイン] 獅童真希 : []
[メイン] 獅童真希 : [main-system:]
[メイン] 獅童真希 : [main-system:online]
[メイン] 獅童真希 : 真希を包む楯が、起動。
[メイン] クロエ : …ああもう
[メイン] クロエ : "夢"は覚めたのに
[メイン] クロエ : 君がそこに居るなんて、ね
[メイン] 獅童真希 : きっと、人生に答えがあるのだとしたら─────。
[メイン] 獅童真希 : ──────────"愛"、なんだろうね。
[メイン] 獅童真希 : 「─────はァアアアアアアアアッッッッ!!!!!!!!!!!!」
[メイン] 獅童真希 : アスファルトを陥没させんばかりに踏み込み。
[メイン] 獅童真希 : 迅
[メイン] 獅童真希 : 移
[メイン] 獅童真希 : 真っ白な残像と共に
[メイン] 獅童真希 : "3人"を覆い尽くさんばかりの"放電"へ。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : 一閃。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 櫻 美鳳 : ───なぁ、灯花
[メイン]
櫻 美鳳 :
お金欲しいさんって言うあだ名がピッタリなぐらい
ウチさ
[メイン] 櫻 美鳳 : お金が大好きなわけやから───ホンマはこんな事、似合わんやろけど聞いてくれるか?
[メイン] 櫻 美鳳 : いや「聞く」んやなくて「聴いて」くれ
[メイン] 櫻 美鳳 : ───
[メイン] 櫻 美鳳 :
[メイン] 櫻 美鳳 :
[メイン] 櫻 美鳳 : 「好きやで」
[メイン] 櫻 美鳳 :
[メイン] 櫻 美鳳 :
[メイン] : アーマーは弾け飛んだ。
[メイン] : たったの一万円が、まるで大金の如く散り散りとなる。
[メイン] : そして、そこには
[メイン] : 櫻 美鳳はいなかった。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] : ─────獅童真希、お前が"最後の一人"となった。
[メイン] : ─────その健闘を称え、お前の望みを一つだk
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : 一閃。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : メインシステムを、破壊。
[メイン] 獅童真希 : ………願いは、自分で掴むもの……そう言ってくれたよね。
[メイン] 獅童真希 : ………そう、させてもらうよ。
[メイン] 獅童真希 : だから僕は、こう願ったよ。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : こんな悲劇、二度と起こさないと。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 : ………はは、僕……戻れなくなっちゃった。
[メイン] 獅童真希 : まぁ………
[メイン] 獅童真希 : ……2人がいるから……
[メイン] 獅童真希 : ………寂しく、ないよね。
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] 獅童真希 :
[メイン] クロエ : [access:null]
[メイン] クロエ : ▶再試行
[メイン] クロエ : [access:null]
[メイン] クロエ : ▶再試行
[メイン] クロエ : ▶再試行
[メイン]
クロエ :
▶再試行
▶再試行
▶再試行
[メイン] クロエ : ⁝
[メイン] クロエ : [access:true]
[メイン] クロエ : …
[メイン] クロエ : 正直、どう言うべきかはわからない
[メイン] クロエ : 私がこれをするのも
[メイン] クロエ : 私が抱く思いも
[メイン] クロエ : あの幻覚なのか、呪いなのか
[メイン] クロエ : でも
[メイン] クロエ : …
[メイン] クロエ : "私"は後悔しない
[メイン] クロエ : 二度目覚めて、それでも手を取って
[メイン] クロエ : 謝りだってしたいと思った、言葉を交わしたいとも思った
[メイン] クロエ : 何より、何もしてやれてないのだから
[メイン] クロエ : だから
[メイン] クロエ : [userlist]
[メイン] クロエ : ▶接続
[メイン] クロエ : [salvage:0%]
[メイン] クロエ : ▶開始
[メイン] クロエ : …戻ってこい、こんな夢は
[メイン] クロエ : もうおしまいでいい、そして
[メイン] クロエ : "夢"、叶えて来い
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ : [main-system:クロエ]
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ : [salvage:100%]
[メイン] クロエ : [access:Neural-Crowd]
[メイン]
クロエ :
[user:獅童 真希]
[user:ヴェンデッタ]
[メイン] クロエ : [access:mental-core]
[メイン] クロエ : ▶接続
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] クロエ : 「こっちで悪いが」
[メイン] クロエ : 「会おう、今度こそ」
[メイン] クロエ : [戦術人形 type-==義体を二機起動]
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ :
[メイン] : ガタン、と
[メイン] : 箱が降ろされて
[メイン] : 鍵を開く音が鳴り
[メイン] : 「…起きてるかな?」
[メイン] : 眩しい光が、零れる
[メイン] クロエ : 随分、気まずそうな顔の少女が"二人"を見下ろす
[メイン] 獅童真希 : 「ん……あ、あれ……」
[メイン] 獅童真希 : 目を擦りながら、重たい体を起こす。
[メイン] ヴェンデッタ : 「────あ、ら……ら?」
[メイン] 獅童真希 : ……僕は……確か、"一人"になって……。
[メイン] 獅童真希 : じゃあ、この声は──────────。
[メイン] 獅童真希 : 「─────クロエッ!?」
[メイン] クロエ : 「…どーも」
[メイン] 獅童真希 : 「……!? あ、そ、それに、ヴェンデッタ……」
[メイン] 獅童真希 : ぽぉっとした表情で、見つめる。
[メイン] ヴェンデッタ : 「……これは、どうして……」
[メイン] 獅童真希 : ─────『好きだ。』
[メイン] 獅童真希 : …………。
[メイン] クロエ : 「ああ」
[メイン] クロエ : 「…身体の調子はどう?」
[メイン] 獅童真希 : ……わあ、これ……はずい。
[メイン] ヴェンデッタ : 瞼をぱちくりと何度も開け、閉じ真希を見ている
[メイン] 獅童真希 : 「……!あ、あぁ、大丈夫だが……いや、それよりも、これは一体……?」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「足は……あるわね」
プラプラと棺に腰掛け足を動かす
[メイン] クロエ : 「データの隅から引っ張り出して、別の身体に突っ込んだ」
[メイン] クロエ : 「…"私と同じような体"にね」
[メイン] 獅童真希 : 「別の……?……僕の体みたいに見えるけど……」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……そういうわけ」
[メイン] 獅童真希 : 「……クロエと……」
[メイン] 獅童真希 : ……戦術人形、と言ったか……。
[メイン] クロエ : 「復唱しなくていい」
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] クロエ : 「謝るにはこれしかないから」
[メイン] 獅童真希 : 「…………」
[メイン] 獅童真希 : フッ、と笑い。
[メイン] 獅童真希 : 「………ありがとう、クロエ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「……謝らなくていいわ」
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] クロエ : 「…二人の事は応援するから」
[メイン]
獅童真希 :
………僕は、ずっとあの世界で……一人で生き続けていくつもりでいた。
でも……。
[メイン] クロエ : 目は逸らしたまま
[メイン] 獅童真希 : 「………」
[メイン] 獅童真希 : 「え?」
[メイン] 獅童真希 : 顔が、赤くなる。
[メイン] ヴェンデッタ : 「……え、じゃないけれど」
[メイン] 獅童真希 : 「あ、ああいや、そ、れは、あは、ははは……」
[メイン] クロエ : 席を立とうとする
[メイン] ヴェンデッタ : 「……待ちなさい」
[メイン] 獅童真希 : 慌てた表情で、目がきょろきょろとせわしなく動き。
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン] クロエ : ぴたり、止まる
[メイン]
ヴェンデッタ :
「人を真っ二つにする程、真希が好きなんでしょう?」
「少しの負い目で諦める、なんて言われても綺麗に分かたれた側には複雑なのよ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「それに……貴女は恩人だものね」
[メイン] クロエ : 「.....ぅ」
[メイン] クロエ : 「唆されて始めてしまったし…」
[メイン] クロエ : 「…それで、何度も迫るのは」
[メイン] クロエ : 暗い顔で
[メイン] ヴェンデッタ : 「始まりが何であれ、恋は恋よ」
[メイン] 獅童真希 : 「…………」
[メイン]
クロエ :
「…う、う…」
所在なく、座り込む
[メイン] ヴェンデッタ : 「はい、いい娘よ」
[メイン] クロエ : 「…忘れなかったんだ」
[メイン] クロエ : 「一度死んで、バックアップが目覚めて」
[メイン] クロエ : 「…想いも最後も」
[メイン] クロエ : 「残った…んだ」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「死んでも枯れない、なら本物よ」
「私だってそうだった、偽物と言い出すなら相手になるわ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「私は私の敵には容赦しないわよ」
[メイン] クロエ : 「……もう敵にはなりたくないさ」
[メイン]
獅童真希 :
「…………ヴェンデッタ……」
………君は、本当に、優しいね……。
[メイン] 獅童真希 : 「………その、クロエ……」
[メイン] 獅童真希 : 「………僕の我儘かもしれないけど………君には、辛い想いをさせてしまうかもしれないけど……」
[メイン] 獅童真希 : 「………僕を"二度"も救ってくれた恩人として」
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン]
獅童真希 :
「………僕を、変えてくれた……人として……ずっと、一緒にいてくれないかい……?」
※友達として。
[メイン] クロエ : 「……」
[メイン] クロエ : 「…どう言うつもりで言ったのかは、聞かない」
[メイン] クロエ : 「聞けるほど、一緒にいた訳でもないし」
[メイン] クロエ : 「探れるほど、私は知らない」
[メイン] クロエ : 「…でも」
[メイン] クロエ : 「…その約束は守る」
[メイン] 獅童真希 : 「…………!」
[メイン] クロエ : 「だから、君も守ってね?」
[メイン] クロエ : にこり、微かに
[メイン] クロエ : 微笑んで
[メイン]
獅童真希 :
「………ああ、守るさ」
返すように、微笑む。
[メイン] クロエ : 「…まったく」
[メイン]
ヴェンデッタ :
『……じゃ、私についても話しておこうかしら』
先程の決戦の時のように、ヴェンデッタの声が脳裏に届く
[メイン] クロエ : 「…?」
[メイン]
ヴェンデッタ :
『……あら、外にも聞こえるのねコレ』
真希に一体化した“まま”のヴェンデッタのデータ、それが気楽な様子で話を続ける
[メイン] クロエ : 「…データ」
[メイン] クロエ : 「やけに容量、多いと思ってたけど…」
[メイン] クロエ : 「…ごめん」
[メイン] クロエ : 所在なく、また謝る
[メイン] ヴェンデッタ : 「謝らなくていいわ、寧ろ私がした事が原因だし…」
[メイン] クロエ : 「いや、改めて」
[メイン] ヴェンデッタ : 『真っ二つにされたのが原因かしらね』
[メイン] クロエ : 「…もう一つ身体用意しようか?」
[メイン] クロエ : 「今回の任務の報酬分は多分足りる」
[メイン]
ヴェンデッタ :
『結構よ、私は真希に全部あげたもの』
『ずっと一緒』
[メイン] クロエ : 「……」
[メイン] クロエ : ずっと一緒という言葉に、もやもやと
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……狡いわね、ソレ」
外のヴェンデッタも同じく嫉妬していた
[メイン] クロエ : ちらり、左手を眺めて視線を落とす
[メイン] ヴェンデッタ : 「……ああ、なるほど」
[メイン] ヴェンデッタ : チラリとクロエの様子を見て
[メイン]
獅童真希 :
「………?……あ、そういえば……」
クロエから渡された指輪をポッケから取り出し。
[メイン] クロエ : 「…ッ!!!???なんでっ!!??」
[メイン] クロエ : 驚いて、転がる
[メイン] 獅童真希 : 「えっ!?だ、だってクロエ、すっごく大切にしてたっていうか……」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……ふふふ」
何かを目論むように暗い笑顔を放つ
[メイン] クロエ : 「…ぅあ、あうあ」
[メイン] ヴェンデッタ : 『……あらまあ』
[メイン] クロエ : 「……」
[メイン] 獅童真希 : 「え……ど、どうしたんだいヴェンデッタ……?」
[メイン] クロエ : "欲しい"
[メイン] クロエ : そう、今ですら思う
[メイン]
クロエ :
「…」
[メイン] クロエ : 見つめている
[メイン]
獅童真希 :
「………その、クロエ、この指輪……君に……」
返そうと……。
[メイン] 獅童真希 : 「………ぁぇ…」
[メイン] 獅童真希 : ……すっごく、見つめてる。
[メイン] クロエ : 「………」
[メイン] クロエ : 「その指輪、は…」
[メイン] クロエ : 「……」
[メイン] 獅童真希 : 「……ぁ、う……うん」
[メイン] クロエ : 「…渡されたら、断れない」
[メイン] クロエ : 変な言い方になってしまう
[メイン] 獅童真希 : 「………………」
[メイン]
ヴェンデッタ :
ニヤリ
[メイン] 獅童真希 : 「…………?」
[メイン] 獅童真希 : よく分かっていない、といった表情で。
[メイン] ヴェンデッタ : 何かを確信したように、自身の左腕を見つめている
[メイン] クロエ : 「…っ」
[メイン] クロエ : 「取り敢えずその」
[メイン] クロエ : 「"渡して"くれるん、だよね?」
[メイン] 獅童真希 : 「? ああ」
[メイン] 獅童真希 : 「君に"渡す"よ」
[メイン] 獅童真希 : クロエの瞳を、真っ直ぐ見つめ。
[メイン] クロエ : …
[メイン] クロエ : [pledge-stigma:]
[メイン] クロエ : 「…じゃあ、ほら」
[メイン] クロエ : 左手を出す
[メイン] 獅童真希 : 「ん?……ああ、なるほど」
[メイン] 獅童真希 : 確かクロエは……
[メイン] 獅童真希 : 薬指にこれをつけていたね。
[メイン] 獅童真希 : クロエの手を優しく掴み
[メイン] 獅童真希 : その薬指に、そっと指輪を嵌める─────。
[メイン] クロエ : 「っ…」
[メイン] クロエ : 「……」
[メイン] クロエ : 「ありがとう」
[メイン] 獅童真希 : 「ん」
[メイン] 獅童真希 : 「どういたしまして」
[メイン] 獅童真希 : ニコ、と微笑む。
[メイン] クロエ : [pledge-stigma:獅童 真希]
[メイン] クロエ : 「…ふふ」
[メイン] クロエ : 「"よろしくね"」
[メイン] クロエ : にこりと
[メイン] クロエ : 熱っぽく、見つめて
[メイン] 獅童真希 : 「ああ、"よろしく"」
[メイン] 獅童真希 : ………ん?
[メイン] 獅童真希 : 顔が赤い……?
[メイン] 獅童真希 : 「大丈夫かクロエ……?熱でもあるのかい……?」
[メイン] クロエ : 「…っ、ひゃ、いや」
[メイン] 獅童真希 : クロエの額に、自分の額を当て。
[メイン] クロエ : 「………」
[メイン] 獅童真希 : 「……ふむ」
[メイン] クロエ : 「ぁ、う」
[メイン] 獅童真希 : 「……熱いね、やっぱり熱なんじゃ……」
[メイン] 獅童真希 : 「……?」
[メイン] クロエ : 「…」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……やっぱり天然物よねぇ」
パタパタと足を遊ばせている
[メイン] クロエ : 「戦術人形はっ、風邪引かないからっ!!」
[メイン] ヴェンデッタ : 『脳裏に邪な気持ちなし、見事よねぇ』
[メイン] クロエ : 限界になって距離を離す
[メイン] 獅童真希 : 「……あ、あれ、そうなの、かい……?」
[メイン]
獅童真希 :
「き、気に障ったのなら……すまない……」
しょぼくれたように。
[メイン] クロエ : 「そうだよ、ただの、熱暴走、うん、うん」
[メイン] ヴェンデッタ : 「こら」
[メイン] クロエ : 「…あ、いや」
[メイン] 獅童真希 : 「………そう、か……」
[メイン] クロエ : 「…怒っては、ないから」
[メイン] クロエ : 「心配は、嬉しいから」
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……クロエもウブいのねぇ」
戦場での印象の違いに目を丸くしている
[メイン]
獅童真希 :
「……ん、そうか……それなら、良かったよ」
安心したように、微笑み。
[メイン] クロエ : 「…と、取り敢えず」
[メイン] クロエ : 「二人とも、一旦着いてきてよ」
[メイン] ヴェンデッタ : 「ええ、構わないわ」
[メイン] クロエ : 「"教授達"に紹介しないと、だからね」
[メイン] 獅童真希 : 「……ああ、そうだね、ここのこと、まだ何も分からないからね」
[メイン] クロエ : にこりと笑って、立ち上がり
[メイン]
獅童真希 :
「ほら、ヴェンデッタ、降りて」
ヴェンデッタに手を伸ばし。
[メイン]
ヴェンデッタ :
「……ええ、ありがとう」
手を借りて棺から地面へ足を付ける
[メイン] 獅童真希 : その様子を微笑ましく思い、ニコ、と優しく笑い。
[メイン] 獅童真希 : ……ああ、またこの手に触れることができた。
[メイン] クロエ : 「…んもう、ほら」
[メイン] 獅童真希 : ……温かな君。
[メイン]
クロエ :
「はやく…」
嫉妬混じりに
[メイン] 獅童真希 : 「おっと、すまない……」
[メイン] 獅童真希 : クロエの後を追うように、少し小走りで。
[メイン] ヴェンデッタ : 引かれて誇らしげに、向かい合える事手を繋げることを、真希の中の自分に見せつけつつ
[メイン] ヴェンデッタ : 歩いて行く
[メイン] クロエ : …私は、こうして
[メイン] クロエ : 守りたいものを、今度は手を引いた
[メイン] クロエ : …言ったろ?
[メイン] クロエ : 0と1の冷たい数字二つでも、こうやって
[メイン] クロエ : ──愛は証明された
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ : [access:Neural-crowd]
[メイン] クロエ : [access:null]
[メイン] クロエ : ▶︎shutdown
[メイン] クロエ :
[メイン] クロエ :